服部予報士のウラナミ『ときに惹かれることありません?灯台?』

服部予報士

服部予報士
服部予報士 サーフレジェンド所属気象予報士、防災士。 小学校の理科の授業で天気に興味を持ち、大学は海洋気象を専攻。 TV・ラジオでの気象解説や、古民家イタリアレストランの店長などの経験を持つ。 「天気と海、旬の食材と話題を通して季節の移ろいを感じられる」ことを ライフワークとして、メッセージを伝えてゆきたいと思います。

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11月1日は、灯台記念日ってご存知ですか?

今年2016年は148周年…ちょっと中途半端ですが、日本初の洋式灯台である観音崎灯台(神奈川県横須賀市)の起工日である1868年11月1日に因んでいるとのこと。ちなみに、この灯台が点灯されたのは翌年の1月1日だそうです。

せっかくなので、少し灯台について学んでみましょう。

■灯台の役目
みなさんは、どこかお出かけされる際、地図アプリをご利用された経験はありますか?

海にも陸と同じように地図があり、それを「海図」と言っています。当然のように海を走る船舶にも、海図と自船を画面上に表示して自分が何処にいるのかを把握するシステムが存在します。そんな便利な機器が生まれる前は、地図同様、紙の海図に頼っていました。もっとも、レーダーのない小さな漁船やヨットにとっては、まだまだ必要不可欠といえるでしょう。

さらに、陸上では番地等を記した標識で自分の位置を知りますが、海上においても幾つかの標識があり、そのうちのひとつに「灯台」があります。

灯台は光を遠くに届けることで、海上の船乗りに自分の今いる場所を把握させるための、海の道しるべなんですね。

■灯台の見分け方
日本で初めての灯台と言われているのは、承和6年(839)遣唐使の航路安全のため防人が終夜かがり火をたいたのが始まりとされています。いま見られるような西洋灯台で、保存灯台とされている明治期に建造さた現役灯台は全国で67基あります。

ところで、周囲に何もない海上で、同じ光が届くだけでは、どこの灯台か判別できませんよね?

このため、それぞれの灯台には、それぞれに光り方が決められています。これらは灯質と呼ばれ、海図や灯台表と呼ばれる資料に【灯質:色、周期(秒)、灯高(m)、光達距離(海里)】で記載されています。
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■コラム~灯台下暗し~
おそらく「灯台下暗し」という諺を耳にしたことはあるかと思います。実はこの「灯台」は、油の入ったお皿に芯を浸して火を灯す「燭台(しょくだい)」のことなんですね。燭台の周囲は明るく照らせますが、その真下は影となり暗いことから「人は身近なことには案外気が付かないものだ」という例えで使われます。なかなか燭台を目にしない現代では、海辺などで見られる灯台が由来と思っていた方も多いのではないでしょうか?

■灯台日本一
全国で保存灯台は67基あるとお話しましたが、それぞれに特徴があり、所謂「日本一」みたいなのがあるようです。灯台に関する資料を保存等を行っている「燈光会」のホームページを覗いてみると…
・日本で最初の洋式灯台は観音埼灯台(神奈川県)で、明冶2年1月1日点灯
・日本一高い灯台は出雲日御碕灯台(島根県)で、地上から43.65m
・日本一光が届く距離の長い灯台は室戸岬灯台(高知県)で、26海里(約49km) 等など、多数あるようです。
 ご案内:「燈光会」公式サイト http://www.tokokai.org/

■コラム~灯台女子~
カープ女子、スイーツ女子、プ女子、理系女子、カメラ女子…等など、世の中色々と◯◯女子がありますが「灯台女子」もあるようです。灯台愛が高まって年4回のフリーペーパー「灯台どうだい?」を発行する”不動まゆう”さん。ブログ・サイトの取材記事やテレビ出演もあり、彼女を検索頂けば「灯台愛」の深さに心打たれ、思わず灯台の事を調べたくなる方もおられるかもしれませんね。
 ご案内:「灯台どうだい?」公式サイト http://toudaifreepaper.jimdo.com/

■おしまいに
いかがでしたか?灯台記念日を前に、すごーく薄っぺらく灯台についてお勉強したのち雑学が大半となりましたが、灯台に興味を頂いた方がおられれば幸いです。なお、灯台記念日に因んだイベントは、海上保安庁が毎年全国各地で催しておられます。10月下旬辺りになれば、ホームページにイベント詳細が発表されると思いますので、コレを機に足を運んでみては如何でしょうか?

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