先日、葉山マリーナ沖でヨットに乗ってきました。
今回お世話になったヨットは、2ケ月に1回開催されるマッチレースに参加しているチームで、そのレースに向けた練習を行うということでお邪魔してきました。
搭乗した艇はYAMAHA-30Sという30フィート(全長約9メートル)のクルーザーヨットです。クルーザーヨットに乗ること自体は初めてではないものの、いわゆる”ガチのレース”にむけた練習に参加するのは10年以上も前のことで、どのような練習になるのか不安と期待が行き交う面持ちでマリーナに向かいました。ただ、チームメンバーとは1週間前にお会いしていたので、その点については不安なくマリーナで挨拶を交わし、出港の準備となりました。
まずは艤装(ぎそう)。艇にセイルやシート(セイルを出し入れするロープ)などを取り付けていきます。基本的な艤装はどのヨットでも似たような形なのですが、艇種によって微妙に異なることもあります。そこで、今回はメンバーの方から指示をいただきながら、セイルとシートを結びつけることとなりました。
普段乗っている艇と同じようにセイルとシートを”もやい結び”したのですが、そこでチームメンバーから一言…「セイルとシートの結び目は、なるべく空間を作ることなく、しっかり締めたほうが良いよ」と。皆さま、なぜだか分かりますか?
ヨットはセイルを使って風を上手に流しながら進む船です。そのセイルをコントロールするシートに余分な空間があると、それだけでもパワーロスする可能性があるからなんだそうです。小さなことと言われれば小さな事かもしれませんが、今まで何気なく艤装していたために、とても新鮮な学びでした。
セイルやシートの他にも準備を済ませ、いよいよ沖に出ての練習です。
今回の練習項目は幾つかあったのですが、主な項目としては(少々わかりやすくするために、大雑把な説明で言うと)風上に置かれたブイを時計回りにまわりながら、それまでとは種類の異なるセイルを上げたり下げたりするものでした。
南~南西寄りの風が5m/s前後といった海況のなかで、私を除いた5名のクルーがそれぞれの役割を担当し、1分に満たないマーク回頭を完了させます。
そこには、レースを勝つために、いまどのような課題を持っていて、それを解決するためにどのようなアクションを、誰が、いつのタイミングで行うのか?、そのときの合図はどうするのか?などを予めミーティングし実践します。実践してみて、上手く出来なければ何が問題だったのか?どうすると上手くいくのか?を再度ミーティングし、再び実践する…これを納得がいくまで繰り返し行います。
ライバル艇よりも良い風を受け、またヨットレースならではの独特なルールを上手く使いながら、クルーそれぞれが同じゴールの”勝利”に向けて艇を走らせます。些細なことでも話し合い、皆が同じマインドになるまで確認し、息を合わせてゆきます。
これまでは”少しでも速く走るために、気持ちよく走るために、いかに風をきれいに流すためにセイルを調整するか”というだけのセーリングだったのですが、今回の練習参加で「1対1のマッチレースでは、特に競り合っているときには、1つのミスが致命傷となり勝敗を分けるという緊張感」、また「勝つためのチームワーク」みたいなものを学び感じることが出来ました。
ちなみに、私は仕事の都合で参加できなかったのですが、練習日の翌日に開催された本レースでは優勝したとのことです。
些細なことでも全員が納得がいくまで話し合い、意識を高めてゆく…そうしたことの繰り返しが優勝につながるんですね。