こんにちは、MINです。今年は夏になってもぜんぜん台風ができなくて、7月はついに、観測史上初の台風発生0個(※参考)となってしまいました。8月1日に3号、4号と立て続けに発生したものの、波の恩恵を受けられるのはごく一部の地域に限られそうで、落胆されている方も多いのではないでしょうか。
そんな中、気象庁から7月、2020年のエルニーニョ監視速報(No.334)というものが発表され、下の様なことが書かれていました。
- 一部にラニーニャ現象時の特徴も見られるが、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態となっているとみられる。
- 今後秋にかけてラニーニャ現象が発生する可能性もある(40%)が、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態が続く可能性の方がより高い(60%)。
つまり、どういうことでしょうか。我々サーファーの視点で、これを読み取ってみましょう。
エルニーニョ/ラニーニャ現象とは
エルニーニョ/ラニーニャ現象は、太平洋赤道域の中部から東部の海水温分布の偏り方の違いをその様に呼び、太平洋赤道域の中部から東部の海面水温が平常時よりも高い状態をエルニーニョ、その逆をラニーニャと呼びます。これらの現象は気象に大きな影響を与えるため、世界中の機関が現象の変化を常に監視しています。
▼わかりやすい説明はこちら
https://weathernews.jp/s/topics/201708/150155/
▼詳しい説明はこちら
https://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/data/elnino/learning/faq/whatiselnino.html
サーファーにとってのエルニーニョ現象
今年の台風シーズン中はエルニーニョ現象は起きない可能性が高いですが、エルニーニョ現象が起きると以下のような傾向があるとされています。
- 7〜9月は、台風の発生数が平常時より少ない傾向がある
- 台風の発生位置が、平常時に比べて夏は南に、秋は南東にずれる傾向がある
- 夏、最も発達した時の台風の中心気圧が平常時よりも低い傾向がある
- 秋、台風の発生から消滅までの寿命が長くなる傾向がある
これらの傾向から、台風はマリアナ諸島などの日本本土の南方海域で発生しやすく、波という観点では良いコースを辿りやすく、アタリ台風となって西・東・北日本の太平洋側に恩恵を与えてくる可能性が高くなると考えられます。ただし、日本へ接近・直撃する可能性も高くなり、波が大きくなりすぎたり、気象が荒れてサーフィンどころでなくなってしまうことも多くなりやすくもなります。
サーファーにとってのラニーニャ現象
ラニーニャ現象は、下のような傾向があるとされています。
- 台風の発生位置が、平常時に比べて夏は北に、秋は西にずれる傾向がある
- 秋、台風の発生から消滅までの寿命が短くなる傾向がある
- 台風の発生から消滅までの寿命が短くなる傾向がある
つまり、ラニーニャ現象が起きた場合、台風はフィリピンの東から南シナ海海域で発生することが多くなり、そこから進路を徐々に北上してくるコースを考えると、太平洋側の東・北日本は台風の恩恵を受けにくくなると考えられるのです。
2020年の台風シーズンはラニーニャ気味
今年は平常の状態が続く可能性が60%ではあるものの、ラニーニャになる可能性が40%もあり、「ラニーニャ気味」と言って良い状態でしょう。「AccuWeather」や「Tropical Storm Risk」といった諸外国の気象機関等では、ラニーニャ現象が発生すると予想しており、台風活動が不活発であることが予測されているようです。
となると、今年の台風シーズンは、7月までの台風の発生数が少なかっただけでなく、この先に台風ができてもハズレ台風となりやすく、コロナ禍で盛り上がりきれない夏がいっそう寂しいものになってしまうかもしれません。
一つ希望があるとすれば、ラニーニャ現象の予測には不確実性が残っているということです。また、個別の台風が日本に接近・上陸するか否かは、ラニーニャ/エルニーニョを問わずその時々の気圧配置等の影響を大きく受けますので、あきらめるのは早いです。
少ない(かもしれない)機会を確実にものにするために、波伝説の概況や各種気象情報をチェックし、災害等に警戒しつつ、その時が来たらいつでも海に行けるよう準備は怠らないようにしておきましょう。
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