米山予報士のウラナミ「台風5号がもたらした4つのピーク」

米山予報士

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米山予報士/大学を8年で卒業。その間、勉強などせず、山と海で遊ぶか家に引きこもっていました。当然、就職などまともにできるはずがなく、社会人経験もゼロ。なのに30歳になってしまいました。ただ、山のおかげで天気図に興味をもち、サーフィンをやっていたから気象予報士になれたと思います。サーフィンと気象、波情報の業務を精一杯頑張りたいです。

無題

18日と18時間。過去3番目に長寿となった台風5号「ノルー」のうねりは、7月23日に関東周辺から反応し始め、8月9日に山形沖で温帯低気圧に変わるまで日本のどこかで恩恵をもたらしていました。
個人的には「Japan Daily Clip」で撮影されていた西日本のビッグウェーブセッションがインパクトが強かったです。

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台風5号による湘南のサイズ変化の記録をたどってみると、4つのピークがありました。

①まず、最初は反応し始めた時。7月23日17時11分、吉浜から東~南東うねりが反応し、腰たまに腹前後にサイズアップしました980hPaで北緯28度、東経151度付近に位置し、西寄りの進路から南東に変わるくらいのタイミングでした。翌日の24日朝からは南寄りの風波も影響し、辻堂では腰腹、昼頃からは腹胸くらいにサイズアップ。台風が東へカットバックした25日にかけても何とか腹くらいをキープし、26日には腰以下にサイズダウンしました。

次に反応が良くなったのが7月28日の昼過ぎからです。975hPaで北緯28~29度、東経144度付近を南西進中に、再び吉浜からサイズアップし、17時16分の情報ではオーバーヘッド~ダブルサイズのクローズアウトになりました。東~南東うねりに敏感な大磯でも15時50分には腰腹たまに胸近くまでアップし、29日には辻堂でも夜明け前から胸肩たまに頭近くになっています。30日は、フィリピンの東で発生し、台湾方面へと北西進した台風9号の南西~南うねりも混じり、ワイドな波質から△が付くようになりました。

8月1日は930hPaと最も気圧は低かったものの、モモたまに腰前後になっています。そして、3度目のサイズアップになったのは8月2日。940hPaで北緯25度、東経136度付近を北西進中でした。湘南よりも西側に位置するようになったので、それまでの東~南東から南寄りのうねりに変わりました。吉浜は8時43分に腰たまに腹前後ですが、辻堂は7時45分に腹胸たまに肩近く、夕方には肩前後のセットが入るようになっています。8月3日は西北西進を続け、肩頭くらいと地味にサイズアップ。そして、4度目にして最大のアップとなったのは8月4日。△、◇が付き、サイズ・コンディションともに一番良かった時、ノルーは北緯28度、東経132度付近を西北西~西寄りに進路を取り、950hPaになっていました。南西~南うねりが強まり、昼前から夕方にかけてセットは頭半。潮回りで少しサイズの強弱がありつつ、全期間の中でベストの日でした。

その後、波は落ち着きつつも、7日は15時30分ごろに和歌山県北部に上陸していますが、湘南では8月8日の夜明け前から再びサイズアップしています。980~985hPaくらいで関西から北陸へ北北東に進んでいる最中に南寄りの風が極強まり、辻堂は5時37分にはオーバーヘッド~たまに頭半近くのジャンク・クローズになっています。ただし、風が徐々に弱まり、14時39分には胸肩たまに頭近くの▼30、16時57分には胸~肩前後の▼30に落ち着きました。北陸・新潟を通過し、日本海に中心を移した直後くらいです。そして、9日の3時に日本海の山形県沖で温帯低気圧に変わり、この日のうちにモモたまに腰サイズまでダウンしています。

予報するのが難しい台風スウェルの予想。
その台風予報を発表するときはいつもドキドキしていますが、少しでも皆さまの期待に応えるべく、今後も台風と各地のサイズ変化などについて、記録し、精度を高めて参りたいと思います。

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