きよひろのウラナミ『海に漂う“見えないゴミ” ~マイクロプラスチック~』

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10月28日(土)、私が代表を務めるNPO法人湘南ビジョン研究所と、NPO法人チームくじら号(代表:加藤千明)さんと共催で「うみの環境しらべ隊〜海岸ゴミ調査」を開催しました。

テーマは、ずばり「マイクロプラスチック」。ここ数年でよくその名前を聞くようになってきましたね。

一見、ゴミがないように見える鎌倉市由比ガ浜のきれいなビーチ。 でも、実は砂浜の中を調べてみると…、様々な色をした微細な物質が入っています。大きさ5㎜以下のプラスチック、それが“マイクロプラスチック”です。

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私たちの生活の中で広く使われているプラスチックが粉々に砕け、世界中の海に漂っています。 その数、推計5兆個以上。 最新の研究では、マイクロプラスチックが海水中の有害物質を100万倍に濃縮させて、さまざまな生物の体内に取り込まれていることが明らかになってきました。

そんな「マイクロプラスチックの脅威」について学ぼうと、今回のイベントを企画。当日は、小学生の子ども連れの家族含め30人ほどが参加してくださいました。

講師は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の加藤千明先生、海洋汚染問題に詳しい東京海洋大学名誉教授の兼廣春之先生、そして、ビーチコミーミング専門家で鎌倉市環境教育アドバイザーの山田海人先生でした。

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【マイクロプラスチックの脅威】

マイクロプラスチックはなぜ恐ろしいのでしょうか?

プラスチックを含んでいる魚を私たちが食べたとしても排せつされるので、プラスチック自体を恐れる必要はありません。でも、プラスチックが紫外線を長期間浴びて粉々に砕けてマイクロプラスチックになると有害物質を吸着してしまいます。

食物連鎖の中で、最終的にマイクロプラスチックに吸着した有害物質が濃縮されて人体に入ると、それは排せつされずに一部は私たちの体内に入ってしまう可能性があるそうです。

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【“脱プラスチック社会” アメリカの取り組み】

私たちが日常的に使っている生活用品の中には0.1ミリのプラスチック=「マイクロビーズ」が使われていて、それが海に出ている可能性もあります。

アメリカ・カリフォルニア州では、マイクロプラスチックの問題への危機感から対策に乗り出し、2015年7月、レジ袋の客への提供を禁止する法案を、全米の州で初めて成立させました。さらに、化粧品などに使われているマイクロビーズの製造と販売も5年後に全面禁止することを決めたそうです。

住民はレジ袋を布製の袋に変えたり、冷蔵庫のプラスチック容器をステンレス製やガラス製に変えたりして暮らし方を見直しているとのことですが、やっぱりプラスチックは便利なものなので、それを減らす生活は大変ですね。

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【生分解性プラスチックの可能性】

生活の中でプラスチックを全てなくすというのは現実的ではありません。では、どうすればよいのでしょうか?

実は、使い終えたプラスチックを微生物で分解する「生分解性プラスチック(自然界において微生物が関与して環境に悪影響を与えない低分子化合物に分解されるプラスチック)」の研究が進んでいます。重要な役割を果たすのが土の中等にいるバチルス属などの微生物。(「生分解性プラスチック」が最終的には酵素分解や水と二酸化炭素に分解(加水分解)されるそうです。)

現段階では、普通のプラスチックに比べてコストが5倍以上かかるという課題はありますが、早く実用化され、日本でも普及してほしいですね!

今回の講座では、最前線で活躍されている一流の学者の先生方から分かりやすいお話が聞けて、お子さんにとっても親御さんにとっても素晴らしい機会になりました。もちろん、私にとっても「目から鱗」の話ばかりでとても楽しかったです。

次回は2月に開催します。是非これからもチームくじら号さんと湘南ビジョン研究所の活動にご期待ください!

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