きよひろのウラナミ『ドイツ環境学び旅⑪』“NPO広報”3つの秘訣

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「ドイツ環境学び旅」では、セブンイレブン記念財団の「環境NPOリーダー海外研修」で環境先進国ドイツを訪問させていただいた10日間の研修の様子を連載でお届けしています。

今回のテーマは、「ドイツから学ぶ“NPO広報”3つの秘訣」です!

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研修で出会った講師の中で、印象に残る話をしてくださった方がいました。40万人以上の会員を持つNPOであるドイツ自然保護連盟「NABU」の広報担当官、ミヒャルスキーさんです。NABUのクリエイティブな広報戦略は、ミヒャルスキーさんが手がけています。

広報活動は誰もが重要だと思っています。私も海岸清掃のNPOを立ち上げて間もない頃は、清掃活動やイベントがあるたびに一生懸命チラシを作り、FacebookなどのSNSで告知をしまくっていました。でも、がんばった割にはなかなか人が集まらず。。。毎回、集客に苦労しました。

色んな人の目に触れるようにしているのに、なぜ人が集まらないんだろう?

そんな疑問を抱えて今回のドイツ研修に参加しましたので、講師をしてくださった広報担当官のミヒャルスキーさんに「どんな広報をすれば人を集めることができますか?その秘訣を教えてください!」と思い切って質問してみました。

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【伝わる広報!秘訣①】最初の5行ですべてを語れ!

「誰に何を伝えたいのか、目的を明確にすること。最初の5行でその全てを語ること。情報の羅列や誇張しすぎた表現、多すぎる情報は読み手の心に響かない。内容は100%真実で、常にハイクオリティであること。そして何度も推敲(すいこう)すること」。

私がドイツで見たNABUやBUNDのポスターはすごくかっこよくて、世界的にも高く評価されていました。フクロウの大きな瞳の写真ポスターは自然環境保全を訴える力があふれ、まさに一度見たら忘れられないポスターでした。

「このポスターのように動物の写真を使用すれば、言葉や文字以上に強いメッセージを発信することができ、多くの人々の記憶に残すことができる」とミヒャルスキーさんは語ってくれました。

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【伝わる広報!秘訣②】誰もやったことのない表現にチャレンジせよ!

「広報には時間とお金が必ずしも必要でない。新たなアイデア、新たなチャレンジがあれば、プレスは取り上げてくれる」。

私たちの講義の中では時間の都合でできませんでしたが、先輩方は「実際に広報をやってみよう!」ということで、講義の後、面白い研修を行ったそうです。

先輩たちに手渡されたのは、ダンボール箱。自分たちで思い思いの「温暖化防止のメッセージ」をダンボール箱に書き、全員でこれを持って、マインツ市の駅までぞろぞろと歩くという研修だったそう。

先輩たちは、もちろん、こんな広報は初めて。早速、各自メッセージを書いて、いざ出動。歩いてみるとこれがまた目立つ!通りかかる人も皆、おもしろいくらい振り返ってくれる。駅に到着すると、新聞社からも取材の申し込みが入っていたそうです。準備期間は30分ほどで、かかった費用はゼロ。

「日本から来た環境ボランティアと一緒にダンボール箱を持って温暖化防止キャンペーン!」という内容はニュース性があり、独創的な広報の良い例だったそうだ。

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【伝わる広報!秘訣③】取材されないなら自ら記事を書け!

「NPOの広報とは、社会を変えていくミッションをより多くの人々に知らせ、共感と支持の輪を広げて行く活動。そのためには、普段からメディアの記者とコミュニケーションを密に取って信頼関係を築いておくこと。取材のお願いばかりをするのではなく、記者に常に自分たちの活動の情報を継続的に伝えておくことが大切」。

もちろん日本のNPOもマスメディアを活用しています。でも「日本のNPOは広報戦略が下手だから、もっと積極的に行け!」と、ミヒャルスキーさんからは叱咤激励をいただきました。

「自然保護活動やイベントを行う際にメディアを招待するのは当たり前、当日取材に来てもらえなければ、自分たちで記事原稿を書いて写真データを添えて新聞社へ送付する。現にそうやって記事になっているものもある!」と強気なアドバイスをいただきました。

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普段生活していると、テレビ、WEB、SNS、ラジオ、新聞、雑誌、街中の看板、電車の車内吊り広告など、目を閉じない限り大量の情報が目に飛び込んできます。

メディアがたくさんあるので情報は伝えやすいと思いがちですが、実は、これだけ情報があふれている今の社会では、逆に伝えたい相手に伝えたいことを届けるのは簡単ではありません。私もミヒャルスキーさんからアドバイスをいただいた「伝わる広報!3つの秘訣」を実践して、地域や社会に良い影響を与えられるような活動をしていきたいと思います。
また次回をお楽しみに!

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