きよひろのウラナミ「ドイツ環境学び旅④」NPO≠ボランティア!

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「ドイツ環境学び旅」では、セブンイレブン記念財団の「環境NPOリーダー海外研修」で環境先進国ドイツを訪問させていただいた10日間の研修の様子を連載でお届けしています。

 

NPO=ボランティア=慈善事業」

そう思っている人が多いのではないでしょうか?

 

でも実は、NPOの活動を続けていく中で、一番悩むのが資金確保です。ビーチクリーンをやるにしても、ゴミ袋やトング、軍手を購入するためのお金が必要になりますし、環境教育をやるためにも会場代や講師への謝礼、スタッフの交通費等がかかります。

 

自分たちは手弁当で地域や社会のためにがんばろうと思っていても、実際は資金がないとボランティアすらできないのが実情です。つまり、NPOにとって「資金調達は生命線」だということ。この意識が日本ではまだあまり根付いていないのかもしれません。

 

では環境先進国ドイツではどうなのでしょうか?

 

今回は、ドイツでのNPOの資金調達についてご紹介したいと思います!

 

今回の研修で訪問した「ファンドレイジング・アカデミー」は、NPOでのファンドレイザー(資金調達者)を育成する専門学校!

 

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ここでは、NPOの資金調達を学術的に研究していて、そのノウハウをドイツのNPO関係者に提供しています。ここには「NPO=慈善事業」の発想はありません。私自身、6年間湘南でNPOを運営してきましたが、NPO向けの資金調達教育機関が存在するなんてまったく知りませんでした…。驚きですね!ドイツ、恐るべし。

「ファンドレイジング・アカデミー」は、2年間のコースと1〜2日の短期コースがありますが、2年間学べるのはドイツでもここだけ。学校で学ぶのは28日間(7日間×4セッション)のみで、あとは通信制がメインになるそうです。

現在は5つのコースがあり、各コース20〜30名の参加者がいます。参加資格はNPOで積極的に活動している人。受講料は2年間で約8,000ユーロ。日本円で約96万円!

NPOファンドレイザーになれるこの授業料を高いと考えるか、安いと考えるか。ここでも「NPO=慈善事業」の日本的発想の呪縛に囚われて「高い!」と叫んでしまいそうですが(笑)、ドイツでは実際、資金調達の実績がある優秀なファンドレイザーは大きなNPOから高額のオファーがあり引っ張りダコなのだそうです!だから高額な受講料を払ってまで専門的な知識やスキルを習得したい人が多くいるんですね。

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今回の訪問では2年間で学ぶ内容をギュッと圧縮して4時間で教えていただきました。資金調達の中でも「会費収入」と「寄付金収入」がメイン。
今回は、さらにギュギュッと圧縮して

「一流のNPOファンドレイザーになるための3つのポイント」

をご紹介しちゃいます。

【ポイント1】ミッションを明確に!
会費・寄付を募るに当たって重要なのは「寄付する側の視点に立つこと」。
NPOがどのようなことを目指しているか(ミッション)を明確にし、分かりやすく示すことで初めて寄付者は共感し、「寄付」という行動に移るのです。

【ポイント2】報告は詳しく!数値で表す
寄付したお金がどのように使われ、どのように役立ったのかを丁寧に分かりやすく報告することが大切です。これが「私たちのお金は活動のためにきちんと役に立っているんだ」という寄付者の実感となり、大きな信頼関係に繋がります。

【ポイント3】お互いが満足できる関係性づくり
「自分良し」「相手良し」「地域良し」の“三方よし”の関係性を築くことで、より一層の活動の拡大やイメージの向上につながり、それがさらなる活動資金の増加にも繋がっていきます。

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研修中に訪れたとある環境保護団体の事務所のテーブルに何気なく置かれたジュース。そのジュースには、その団体のロゴを見つけることができました。このジュースの売上の一部が団体の資金となり、果樹園の保護や保全に使用されているとのこと。身近な物を活用した資金調達のアイデアが目の前にありました。

「最大の地域貢献は地域にお金が回るようにすること」。この研修がそれを教えてくれた気がします。

次回は、ドイツで学んで来た資金調達の具体的なアイデアをご紹介したいと思います!

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