10年後のサーフィン人口は50代以上ばっかりって本当!?|MINのウラナミVol.375

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MIN/社畜暦23年/サーフ事業局所属/小笠原父島出身(実は湘南茅ヶ崎うまれ)/波乗り歴は30年以上/サーフィンと海以外の趣味は、仮想通貨、ガジェット、アクアリウムで、社内ではいわゆるオタ寄りな存在(?)
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10年後-海の中は...

こんにちは、肩を壊してサーフィンができなくなって早、1年半が経とうとしているMINです。最近、肩の調子が良くなってきたので、プールに行って腕の回り具合を確認してきました。しかし、水を漕ぐことは何とかできるようになったものの、漕いだ腕を前に戻す運動で悲鳴を上げてしまい、リハビリの道のりがまだまだ続くことに愕然としました。こうやって、健康上の理由でサーフィンから離れてしまう人は少なくないのだろうなと、改めて実感しました。

さて、前々回のウラナミでは、『日本のサーフィン、静かな危機』と題したコラムを書きました。今回は、レジャー白書と波伝説によるデータを基に、過去10年間のサーフィン人口と年齢構成の変化に着目し、日本におけるサーフィン参加人口の移り変わりと将来について洞察します。
 
 

過去10年のサーフィン人口の年齢構成の変化

レジャー白書によると、過去10年のサーフィン参加人口は約50万人と推計されています。この統計にはウィンドサーフィンも含まれているため、純粋なサーフィンの参加者数はもっと少ないかもしれませんが、本分析では便宜上この数字をサーフィン愛好者全体の人口として扱います。

サーフィン人口はおおむね横ばいを保ってきたものの、波伝説が行ってきたサーファーの年齢構成調査によると、過去10年で顕著な変化が見られます。

2013年の時点では30代が全体の51.3%を占め、40代が35.9%、50代が10%、60代以上が2.8%でした。これに対して、2023年の同調査では30代の割合が6.6%にまで減少し、40代が47.6%、50代が35.4%、60代以上が10.3%へとシフトしています。

なお、波伝説は有料サイトであるため、経済的な側面から20代以下の数は正しく集計できていない可能性が高いと考えられるため、統計から除外しています。

2013年
2023年

このデータを基に、50万人のサーフィン参加人口を30代以上の年齢層別に分析すると、過去10年間で顕著な変化が見られます。30代のサーファーは25.7万人から3.3万人へと大幅に減少しました。一方で、40代は17.9万人から23.8万人へ、50代は5万人から17.7万人へ、そして60歳以上は1.4万人から5.2万人へとそれぞれ増加しました。

これを別の角度から見ると、30代、40代、50代のサーファー人口は、10年経過してもほぼ同じ程度の人口で維持されているとも解釈できます。

この結果は、「サーフィン=生涯スポーツ」という通説を裏付けるものであり、多くの人々が長年にわたりサーフィンを続けていることが推測されます。しかし、この年齢層の推移が今後も続くとしたら、サーフィンコミュニティにとってはいくつかの不安要素を持つことになります。
 
 

10年後のサーフィン人口はどうなる?

現在、20代以下のサーファーは、市場全体の数パーセントと言われています。これらの若年層が10年後にそのまま30代になっているとしても、10年後にはサーフィン人口の90%以上が50歳以上となる可能性があるのです。これは、海に行けばほとんどが50歳以上のサーファーであふれている状況を意味します。

今後10年で新たなサーフィンブームが起こり、30歳以下のサーファー人口が急増する可能性は完全には否定できません。しかし、海との距離感が広がる現代において、少子化が進行し、経済がスタグフレーション(景気が停滞しているにもかかわらず、物価が持続的に上昇すること)の影響を受けていることを考慮すると、10代や20代のサーファーが大幅に増加することは簡単ではないでしょう。

このような状況が続くと、若者のサーフィン離れはさらに加速し、60代、70代と高齢化が進むサーファーは健康上の理由などからサーフィンを止める人数もかなり多くなってくるでしょう。その流れが続けば、数十年後には日本のサーファー人口が大幅に減少し、10万人や数万人規模にまで減ってしまう可能性もあるのです。このような未来を想像することは心苦しいですが、現実に直面する可能性があることは否定できません。
 
 

まとめ

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冒頭に述べたように、レジャー白書によれば過去10年間でサーフィンに参加する人口は約50万人と推計されていますが、実は最近の3年間(2020〜2022年)にわたる調査では、参加人口が連続して40万人にとどまっていることが明らかになりました。

コロナショックが一因との見方はありますが、高齢層のサーファー人口が増加する中、コロナ禍の影響を受けずとも、サーフィン人口の減少傾向が加速し始める時期に入った可能性も無きにしも非ずです。第二次サーフィンブームの後、サーフィン人口は急減し、その後はしばらく安定していましたが、今私たちは、人口がさらに減少する新たなフェーズに入っているのかもしれません。

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