☆加藤の緊急コラム『緑(森)を守ることは海を守ること』

☆加藤

☆加藤
会社代表であり、波乗りと海が大好きなサーファーです。子どもたちに安全安心な海を残すことと、島国などへ高精細な気象情報を提供することを残る人生のライフワークにしました。サーフトリップネタが多くなりますがお付き合いいただければ幸いです。よろしくお願いします。

猿田地区に残された貴重な緑

宅地開発予定地の緑(森)

1月17日、横浜と鎌倉との市境に近い、横浜市栄区猿田地区の都市計画変更に関わる公聴会を聞いてきました。自然豊かな緑(森)を宅地開発するために都市計画が変更される場所は、添付の航空写真の赤丸の緑(森)です。

 

航空写真(赤い丸の範囲内が都市計画変更される)

航空写真(赤い丸の範囲内が都市計画変更される)

 

正直とてもびっくりしました。
なぜならば、それは市街化調整区域を市街化区域に変更する日本で初の都市計画変更だったからです!!!
こんなことが許されたら、今まで保全されてきた全国の緑(森)や自然が開発されてしまうことは火を見るよりも明らかです。
当日配られた市の資料の中に、市街調整区域とは、市街化を抑制すべき区域と明記されています…. まさにダブルスタンダードです。

 

公聴会の後で集まった緑(森)を守るために立ち上がった市民(若い人が多い)

公聴会の後で集まった緑(森)を守るために立ち上がった市民(若い人が多い)

 

また、同地区には7~9世紀の平安時代に作られた鉄を作る炉の遺跡があるそうです。鎌倉幕府が開かれる以前に、なぜ当時は辺境の横浜(都は京都・奈良)に鉄を作る炉があったのか、とても不思議ですね。
ちなみに、世界遺産となった静岡県の韮崎反射炉は徳川時代のものです。
聞けば聞くほど、この都市計画の変更は✖です。

 

都市計画変更後のエリア配置図

都市計画変更後のエリア配置図

 

以前の市による周辺住民の意向調査では、『大方の住民がこの開発に賛成でした』と市は言いますが、どう考えても怪しいです。地権者は、そのままではまともに売れない市街化調整区域内の土地が、市街化区域に変更できれば何十倍で高く売却できるのですから、多くの地権者が賛成することでしょう。しかし、その地権者は住民(市民)のごく一部であり、近隣に住む市民が本当に森を破壊してまでして宅地開発を望んでいるとは私には到底思えません。
また、この森を守る活動をしている『上郷・瀬上の自然を守る会』が、森に近い港南台駅頭で実施した市民へのアンケート調査によれば、今回の都市計画の変更に対して反対する市民が1012名に上るのに対して、賛成した人はわずかに3人と圧倒的な差がありました。

もしも市がデータのねつ造をしていたら、第二の豊洲市場とも言われかねません。あまりにも市の報告が市民へのアンケートとかい離しているので、市はいま一度きちんと調査すべきだと思います。
鎌倉の鶴岡八幡宮の鎮守の森から連なる、豊富な生態系を護ってきた貴重な森を後世に残し、世界遺産にも通じる史跡をきちんと調査して保全することが、大方の市民の意向であり、横浜市に強く求められていることだと思います。

 

現地の森に戯れる(ホタルのふるさと瀬上沢基金HPより)

現地の森に戯れる(ホタルのふるさと瀬上沢基金HPより)

 

弊社の社員がドイツのNPO法人の実態を調査してまとめたコラムによると、ドイツでは森の中だけで運営している幼稚園(親も加わったNPOが運営)が、いま世界中から注目を集めているそうです。

 

ドイツの森のようちえん

ドイツの森のようちえん

 

トム・ソーヤの冒険ではありませんが、自然が溢れる豊かな森は、子どもたちに環境教育を学ばせるには理想的な場所であるばかりか、子どもの成長に豊かな感性を育む大切な要素が多く含まれているようです。私もそうでしたが、皆さまも幼少時代には近くの森を夢中で駆け巡った貴重な経験がおありだと思います。
ウラナミ きよひろのウラナミ『「ドイツ環境学び旅②」森のようちえん』(無料で見れます)
https://www.namidensetsu.com/news/staff_kiyohiro/127462

30年前、私は横浜市の職員で横浜海の公園を担当していました。私は管理部門で、設計部門の担当者とは市民(利用者)の安全対策を巡ってよくぶつかりました。しかし、その担当者が設計した海の公園の緑地デザインは、来園者が渚に立って振り返ると、その後方の公園内の松林と、遠く栄区や鎌倉に連なる山々の緑の稜線とが重なり、手前の金沢区の市街地が隠れる優れたもので、私も誇りに思う大好きなデザインです。

 

海の公園の緑地デザイン

海の公園の緑地デザイン

 

当時の横浜市の都市計画(街づくり)は、都市計画が専門の田村技監(後に法政大学教授)が中心となり、都市計画局の中にアーバンデザイン室を設けて、全国の自治体に先駆けた多くの先進事例を作り上げてきた誇るべき歴史があります。
そのDNAを受け継ぐ市職員は、市街化調整区域のままで、市民やNPOの協力を仰ぎつつ、森や史跡を整備管理していく“優れた街づくり(森づくり)”を、ぜひ導き出していただければと願うばかりです。

北国の漁師は、植林や下草刈りなど森の手入れをしつつ、森を守り育てることでミネラル豊富な水が森から川を伝って海に注がれて、海の生態系を支えて豊かな水揚げに結びつけてきました。森が生態系を保っているばかりか、多くの住民の生活を支えてもいるのです。

また、以前にハワイから日本(横浜・鎌倉にも)に航海してきた古代帆走船である『ホクレア号』のクルーが、日本に来て一番感動したことは、海から見た“緑あふれる日本の美しい景色”でした。

 

鎌倉の沖から見た美しい森

鎌倉の沖から見た美しい森

 

海を愛する私たちだからこそ、残された貴重な森を守り、後世に残していかなければなりません。

横浜市栄区上郷町猿田地区の森を守る活動は、日本人の心の拠り所でもある美しい森を守るための大切な活動であり、今後全国の都市計画の市街化調整区域の変更をめぐる重要な分水嶺にもなることでしょう。(了)

【関連サイト】

◆横浜市都市計画局素案
 http://www.city.yokohama.lg.jp/kenchiku/kikaku/cityplan/setumei/20161003-setumei-kamigou.html

◆瀬上沢だより 上郷開発から緑地を守る署名の会のブログ
 http://segamizawa.blog54.fc2.com/

◆認定NPO法人 ホタルのふるさと瀬上沢基金
 http://www.segamikikin.org/

◆パタゴニア鎌倉 FaceBook
 https://www.facebook.com/PatagoniaKamakuraStore/?fref=ts

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