きよひろのウラナミ『「ドイツ環境学び旅②」森のようちえん』

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「ドイツ環境学び旅」では、セブンイレブン記念財団の「環境NPOリーダー海外研修」で環境先進国ドイツを訪問させていただいた10日間の研修の様子を連載でお届けします。

今回のテーマは、ドイツの森のようちえん!

「森のようちえんって何?普通の幼稚園と何が違うの?」

「森のようちえん」は、一般的な幼稚園のような施設を持たず、森などの自然の中で過ごしながら園児を教育する特色ある保育のこと。1950年半ばにデンマークで初めて「森のようちえん」が誕生し、ドイツでは1968年に開園して1990年代半ばから急増。今や環境教育の視点で世界中から注目されているんです!

今回のドイツ研修では「ボリンムリンゲ森のようちえん」を訪問しました。なんとこの幼稚園は保護者によってつくられたんです!保護者が理事となってNPOで運営し、保育士2名、実習生1名、インターンシップ1名で、3〜6歳までの約20人の園児を保育しています。

保護者が子どものために自分たちでつくった幼稚園だから、もちろん保護者たちも積極的に保育に参加。温かい手づくり感が満載の楽しい幼稚園でした!
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ここで具体的な一日のプログラム例をご紹介しましょう!

朝、園児たちは登園するやいなや落ち葉や水たまりで遊び始め、先生がかけ声をかけて集めたときにはみんなすでに泥だらけ。

最初にやることは、その日のリーダーをくじ引きで決めること。ときには3歳のリーダーも誕生します(笑)。こうして子どもの頃からリーダーの役割に慣れる機会を持たせているのです。リーダーは、園児の数を数え、今日は何曜日かを確認します。

「ごっこ遊び」をした後は、今日一日どこで何をするかを園児全員の投票で決めます。その間、保育士は声をかけずその様子を見守っています。

内容が決まったら園児たちは自分のリュックを背負って森に入ります。投票で決まったこの日の行き先は「カエルの池」。「カエルの池」に投票した園児たちは大喜び。他の園児たちも行き先が決まればみんな楽しそうに向かいます。
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それにしても3〜6歳の園児たちが自分たちでどこに行くかを全員の投票で決めるなんてすごいですよね!ドイツではどこに行っても「デモクラシー(民主主義)が大切だ」という話を聞きましたが、それを3歳から実践していることに驚きました。
ランチタイムも森のなか。雨や雪、雷の場合も、特別な危険がない限り森のなかで過ごします。全ての現象が遊びと学びの対象。子どもたちは、五感をフルに使って土、植物、生き物などを体感することで、豊かな感性を育むとともに、自然に対する判断力や対応方法を学んでいくのです。

例えば、でこぼこの地面の感触を足の裏で感じたり、全身を使って木に登ったりすることで、身のこなし方や危険への対処方法を自然と身に付けていきます。
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そのおかげで、実は「森のようちえん」は、普通の幼稚園と比べ、意外にも園児のけがの発生率が低いのだそうです。

また、木登りをするときや水辺で遊ぶときも、自己責任で登るかどうか、遊ぶかどうかを自分で判断させます。このような体験の中で自己責任の考え方を学び、自立性と社会性を育んでいくのが「森のようちえん」の自然教育の大きな特徴になっています。
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お子さんをお持ちのパパやママのみなさん、ドイツの「森のようちえん」の教育方針はいかがでしたでしょうか?

日本でも、子どもたちへ自然体験の機会を提供しようと活動する団体や個人が増え、「森のようちえん」という呼び名の活動が広まってきているそうです!

私は、湘南で子どもたちへ海の環境教育を実践しているので、「森のようちえん」ならぬ「海のようちえん」をつくってみようかな!?と思いました。「海のようちえん」の保育士になる条件はサーフィンができることですね(笑)

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