先日、馬を愛してやまない義父に案内され、とある乗馬クラブを訪れました。
スタッフがやるのであろう雑務などを、客である義父自らが楽しそうにこなし、泥だらけになっています。
こりゃガチだなと思いつつ、「馬を撫でてあげなさい」と義父から言われ、馬に近づいたその時です。何とも言えない深みのある馬の目と私の目が合いました。
そして、記憶が蘇りました。
かれこれ10年以上も前のこと、オーストラリアに住んでいた時、シェアハウスのオーナーのおじさんが「G◎Da、ホースライディングに行くぞ!馬も良いぞ!」と、フィリピン人の若い彼女ができ、浮かれているおじさんに、乗馬に連れて行ってもらったことがあります。
牧場までの道中、スラング混じりの英語で説明され、何を言っているか理解に苦しみながらも、いざ乗馬することに!初の乗馬は不安要素たっぷりです。
AUSの自然豊かな広すぎる山の中を馬に乗って散策するコースでした。調教師の手を借り、馬にまたがりました。意外と高い!しかも馬がもぞもぞしているので、やや緊張です。
なんだかんだありながらも順調に馬ともリズムが合い進んでいる時でした。馬が徐々に言うことを聞かなくなりはじめ、急にストップしたりするので、隊列を乱しはじめました。
そして、馬のわがままがエスカレートしていきます。
首を左右に振る感じでさらにヒートアップ!
「たずなを引け!!!」「腹をキック!!!」と調教師に叫ばれます。
加減が分からない僕は、「動物には優しく」という感情が邪魔をし、中途半端なキックなどを繰り替えしたのが仇となり、馬はさらに暴れ出したのです。
そして、地元の大大大大大先輩、源頼朝氏の死因が頭をよぎったのです。
死因、落馬……。
そして調教師が、追い打ちをかけるように、しなりが効いた棒で平静さ失った馬のお尻を叩き出したのです。
次の瞬間、馬が恐ろしい速さで野原を加速して走り出したのです。
ロデオマシンと化した馬は、地面に垂直に近いくらいに立ち上がったのです。
乗馬の経験があれば、暴れん坊将軍並に馬をしたがわせ、天才ジョッキーのように馬と一体化し疾走したのでしょうが……。
超やばい!!!!
と思いながらも必死にしがみついていた僕は、バランスを完全に崩し、ついに落馬したのです。
今では、頼朝大先輩と同じ経験をしたと笑い話にしていますが、落馬の瞬間は、これが俗にいうスローモーションか‼という経験をし、少しでも落下のショックを無くそうと、たずなを持ちながら引きずられ気味に逆ヘッドスライディングっぽく落馬したのです。
軽いケガで済んだものの無様な姿をその場にいたオージー達に見られ、その日は見学となったのです。
それ以降、競馬は好きなものの、まさにトラ馬とでも言いましょうか、馬にはトラウマ(注:torauma 医学用語)で近づくことがまだできていません。
おしまい