きよひろのウラナミ「ドイツ環境学び旅⑦」急がば回れ!

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「ドイツ環境学び旅」では、セブンイレブン記念財団の「環境NPOリーダー海外研修」で環境先進国ドイツを訪問させていただいた10日間の研修の様子を連載でお届けしています。

前回は、社会に出る前の若者向けに実施されているドイツのユニークな「ボランティア研修制度」をご紹介しました!

毎年1,800人の若者たちが森林管理や農業など環境保護に関するあらゆる分野で1年間の研修を行っていて、なんと、その間、研修参加者には国と州から研修費と生活費が支払われるんです。

この制度によって若者たちは生活が保障されるので、社会に出る前にボランティアをしながら、じっくりと自分の将来について考えることができます。

実際にボランティア研修を受けている研修生や受け入れている団体はどんな感じなのか、今回は私からのインタビュー形式でご紹介していきたいと思います!
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【研修生Aさん(19歳・女性)の場合】

きよひろ(以下「き」):「なんで、この制度を利用しようと思ったの?」

Aさん:「義務教育が終わって自分の将来のことを考えてみたんだけど、何をしていいのか、これから何を勉強したらいいかも全然分からなくて…。このままじゃ大学に行っても意味ないと思って…。そんなときこの制度を知って、もともと生物に興味を持っていたから思いきって自然保護センターにエントリーしてみたら、1年間受け入れてもらえることになって本当にラッキーでした!」

き:「1年間の研修を終わってみて、以前の自分と何か変わった?」

Aさん:「毎日、現場に出て自然や生物に触れながら働いてみて、自分が本当にやりたいことは“これだな”って思いました。デスクワークが苦手だということもよく分かったけど…(笑)。生物を勉強するには科学も必要。今は生物保全学と自然科学を学べる大学に入学するための勉強をしています。将来は自然保護の専門家になりたいです!」

き:「大学に行く前に自分の将来やりたい事を見つけられるのは良いね。大学の勉強にも身が入るよね。この制度を利用して一番良かったと思うことは何?」

Aさん:「自然保護センターの所長にお会いできたこと!素晴らしい方です。所長から生物や自然、将来の仕事から働く姿勢まで、多くの大切なことを学ばせていただきました。このボランティア研修制度を使っていなかったら、きっとどこかの大学に行って、本当に自分が学びたいことが分からず1年くらいで退学していたかも…。それに親元を離れて、はじめて一人暮らしができたから自信もつきました。国から研修費と生活費をいただけたおかげです。」

き:「なるほどー。日本でもこんな研修がたくさんあれば大学生にとっても企業やNPOにとっても良いね。」

研修生Aさん(19歳・女性)は、私の質問に目を輝かせて応えてくれました。自分のやりたいこと、やるべきことが見つかった人は「前向きなオーラ」が出まくっています!Aさんはきっと希望の大学に合格し、将来の夢も実現させるのだと思います。Aさん、これからもがんばってね!
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一方で、Aさんを受け入れた自然保護センターはどのように思っているのでしょうか?Aさんが尊敬する所長のBさんにお話しをお伺いすることができました。

【受入団体の自然保護センター所長Bさん(50歳代・女性)の場合】

き:「なぜ、自然保護センターはAさんのような研修生を受け入れているのですか?」

B所長:「我々にとっては、社会人として知識も経験も全くない若者を受け入れるのは正直大変。仕事は一から手取り足取り教えなきゃいけないし、やってもらう仕事も限定されてしまうからね。でも、若い人は考え方、発想力、アイデアがすごく豊かなので、スタッフにも良い刺激になっているわ。あとは次世代の若者を教育しなければという使命感かな。若者の教育に貢献できることは私にとって何よりもやりがいのある仕事だわ。だからうちは毎年必ず1人受け入れているの。」

き:「研修生を受け入れて困ったことはありましたか?」

B所長:「たまにホームシックになっちゃう子もいるのよね。まあ仕方ないわね。それくらいかな(笑)」

き:「10代の若者を受け入れるというのは大変なことですね。でも自然保護センターにとっては、この制度で労働力が確保されるのはもちろんのこと、それ以上に、『若者に社会に出る前に様々なことを経験してほしい』という使命感があるんですね。素晴らしいです。だからこそ、研修の受け入れを希望してくれる団体は多いんですね。」

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