「ドイツ環境学び旅」では、セブンイレブン記念財団の「環境NPOリーダー海外研修」で環境先進国ドイツを訪問させていただいた10日間の研修の様子を連載でお届けしています。
今回は、海ネタからちょっとは離れて、「野鳥の保護団体」を取り上げます。
日本で言えば、言わずと知れた「日本野鳥の会」。最近、バードウォッチング用のブーツがブームになっていますね。日本野鳥の会は、日本で最も会員が多いNPOと言われています。その会員数はなんと4万人!国民の3,000人に一人は会員なんです。
では、「ドイツ野鳥の会」の会員は何人いるのでしょうか?
「ドイツ野鳥の会」にあたるNPO「ドイツ自然保護連盟(NABU)」はドイツで最も有名な自然保護団体。その会員数は、なんと、、、
59万人!
ドイツの人口は約8,000万人なので、ドイツ国民の140人に一人がNABUの会員ということになります。
2016年レジャー白書によると日本のサーファー人口は約30万人。NABUの会員数の半分ですね。ちなみに、私の地元、藤沢市の人口は42万人。。。NABUすごすぎです!

なぜ、NABUはそんなにすごいのか。
NABUと日本野鳥の会は、どちらも「野鳥の保護」を目的として個人が作った団体で、設立経緯は同じなのに….
その理由を見つけるために、実際にNABUラインランド・ファルツ州支部の事務所を訪問し、NABUの組織運営、資金調達、人材育成、広報、プロジェクトの内容について講義を受けてきました!

【成功の理由その1】国民からの信頼感がスゴイ!
NABUは、調査だけでなく「実行するNPO」です。目的実現力がハンパない。年間700〜1,000件、田畑や森林の開発プロジェクトに対して意見を述べて、保護活動を実施。必要であれば政治家とコンタクトして陳情活動もするし、場合によっては自分たちで土地を買って保護活動をしちゃいます。
だから自然を愛する国民から絶大な信頼を寄せられているんです。会員が増え、多額の寄付が集まり、活動が充実してさらに実績が残せるという好循環が生まれているのです。
【成功の理由その2】組織の仕組みがスゴイ!
NABUの組織は、連邦本部、16の州支部、約1500の地域グループというピラミッド型の3段階制を取っています。上部になるほど全国規模の企画や政府へのロビー活動を実施。下部の地域グループではボランティアが主体になって100カ所以上の自然保護センターを運営しています。
有給のプロスタッフによる政府への交渉から、ボランティアによる草の根活動まで、組織的に幅広い活動を展開しているのがNABUの強みです。
【成功の理由その3】資金集めとPRがスゴイ!
NABUには資金調達の専門家「ファンドレイザー」がいて、戦略的に活動の元となるお金を集めています。さらに、マスメディアやSNSを活用してNABUの活動を国民に分かりやすく伝えるために、PRの専門家である「広報官」を雇っています。
日本のNPOでそこまでする団体はなかなかありません!

日本でNPOと言うとボランティア団体というイメージがまだまだありますが、NPO先進国のドイツの事例を見て、団体のミッションを実現するためには、プロフェッショナルな組織と人材、資金が必要なのだと痛感しました。
ドイツNPO恐るべし…。
次回以降のウラナミでは、NPOの資金集めの秘訣についてもご紹介していきたいと思います。
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