日本のサーフィン、静かな危機ーー若年層の減少と市場の未来|MINのウラナミVol.373

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MIN/社畜暦23年/サーフ事業局所属/小笠原父島出身(実は湘南茅ヶ崎うまれ)/波乗り歴は30年以上/サーフィンと海以外の趣味は、仮想通貨、ガジェット、アクアリウムで、社内ではいわゆるオタ寄りな存在(?)
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MINのウラナミVol350

サーフィンは、海と自然を愛するすべての人々にとって、ただのスポーツではなく、ライフスタイルそのものです。しかし、日本ではこの素晴らしいスポーツが静かな危機に直面しています。特に若年層のサーファーが減少し続けており、この問題はサーフィン市場の未来に大きな影響を与えています。
 
 

グローバルな盛り上がりと日本市場のギャップ

世界的に見れば、サーフィンは盛り上がりを見せています。多くの国々で若者を中心にサーフィン人口が増加し、オリンピック競技としても認められるなど、その人気は高まる一方です。しかし、日本のサーフィン市場は異なる状況にあります。かつての熱狂が影を潜め、特に若い世代の参加が減少しているのです。
 
 

若年層の減少による危機の深刻化

波伝説の中で私がこれまでに行ってきた調査によると、20代以下の年齢層は2013年には13%だったのが、2022年にはわずか4%に減少しました。これは、サーフィンを楽しむ若者の数が目に見えて減っていることを意味しています。また、30代の減少も深刻です。2013年には52%だったこの層が、2022年には15%まで落ち込んでいます。これは、サーフィン市場が40代以上に極端に偏っていることを示しています。

この状況は、単に市場の問題ではなく、サーフィン文化自体の存続に関わる問題です。若い世代がサーフィンに触れ、その魅力を経験する機会が減少することは、新しいスタイルや文化の発展を妨げるだけでなく、サーフィンコミュニティ全体の活力を削ぎます。
 
 

市場偏重の問題

サーフィン愛好家の年齢層が40代以上に極端に偏っている現状は、数多くの問題を引き起こす可能性があります。まず、若い世代がサーフィンに参加しないことで、サーフィン文化の継承が困難になります。新しいスタイルや技術の発展が停滞し、サーフィンが旧式化する恐れがあります。

さらに、若年層の不足は市場の縮小を意味します。新しい製品やサービスに対する需要が減少し、サーフィン関連産業にとっては大きな打撃となり得ます。これは、サーフショップやローカルのサーフスポット、サーフィンイベントなど、サーフィンコミュニティ全体に影響を及ぼします。

また、サーフィンを楽しむ若者が減少すると、このスポーツの社会的な見え方も変わる可能性があります。サーフィンが「オジサンの趣味」という印象を持たれることで、さらに若い世代の参入を阻害する悪循環に陥る恐れがあります。
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若手サーファーの希望と機会

しかし、希望もあります。例えば、五十嵐カノア選手や都筑有夢路選手といった東京オリンピックのメダリストを含む、多くの若手日本人プロサーファーが国際舞台で素晴らしい成績を収めています。彼らの活躍は、若い世代にとっての強いモチベーションとなり得ますし、サーフィンの魅力を再発見するきっかけとなるかもしれません。
 
 

サーフィン文化の未来に向けて

日本のサーフィンの未来を考えるとき、私たちが直面しているのは、ただの数値の問題ではありません。サーフィンというスポーツと文化を次世代にどう伝え、どう育てていくかというのが、より大きな課題です。若者たちがサーフィンの魅力に触れ、海とともに育つための環境作りが求められています。

サーフィン文化を維持し、さらには市場を活性化させるためには、若年層の参加を促進し、彼らにサーフィンの喜びを感じてもらうことが重要です。これは、サーフィン愛好家一人ひとりが取り組むべき課題であり、サーフィンコミュニティ全体の努力によってしか成し遂げられないことです。

日本のサーフィンが直面している「静かな危機」は、私たちにとって重要な問題です。若年層の減少が続けば、サーフィン市場の未来はますます不透明になってしまいます。しかし、共にこの問題に立ち向かい、サーフィンの素晴らしさを次世代に伝えることができれば、サーフィン文化はきっとより豊かなものになるでしょう。

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