唐澤予報士のウラナミ『迷走した台風6号と、台風7号による南東うねり』

唐澤予報士

唐澤予報士
唐澤予報士:1991年、沖縄でサーフィンを始める。(スノーボードも開始)  1993年、初めてフルマラソンを完走。1999年、気象予報士資格を取得し登録。現在に至り、一児(娘)の父です。

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8月8日、湘南辻堂ポイントでの台風6号による波

まずは台風6号・7号によって被害に遭われた方に、心からお見舞い申し上げます。

台風6号は二回急激にコースを変える、所謂「迷走台風」となりました。沖縄や奄美では、いったん暴風・強風域に入り、再び暴風・強風域に入るというように、一つの台風で二回に渡って台風の直撃を受けてしまいました。
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なぜこのような迷走をしたのかを時系列を追って見てみたいと思います。
台風自体は移動する力がなく、高気圧から吹き出す風によって移動します。天気図を改めて見ることで、今回の台風6号の迷走は、太平洋高気圧の張り出しの変化に起因することがわかるかと思います。

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8月3日にかけては、太平洋高気圧が東海上から日本付近にガッツリと張り出しており、この高気圧から吹き出す東寄りの風に流れるように西寄りに進んでいます。

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しかし、8月4日になると、太平洋高気圧が張り出しを弱めます。一方で、上空ではチベット高気圧が張り出しています。このチベット高気圧から吹き出す西風に流されるように東に進みます。

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そして、8月8日になると、再び太平洋高気圧が張り出しを強め、太平洋高気圧の西の縁を進むように北上、となったのでした。

さて、上の天気図を見るとわかるように、8月9日には台風7号が発生しており、ダブル台風となっていた期間がありました。この台風7号は、日本の南東から進んできたために、台風7号からのうねりは南東がメインとなっていました。
もしかするとエリアやポイントによっては異なるかもしれませんが、湘南では東寄りのうねりの場合、ワイドなうねりとして入ってくることが多くなっています。実際に今回の台風7号でもビーチでは一直線のワイドなブレイクとなり、コンディションが良かったのはポイントブレイクとなるリーフのポイントなどに限られていました。ビーチではマックスサイズで頭半オーバーで、サイズ的にはクローズではなかったのですが、切れ目のないブレイクとなっていて良くはありませんでした。

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8月12日の湘南辻堂ポイントでの台風7号による波

 最上部にある台風6号による波と比べると、いかにワイドで切れ目がなくて、良い波ではないかがわかると思います。(ちなみに、この日の夕方にセミガンを用いて入ったのですが、切れた波には4本しか乗れませんでした……。)

この仕事をしてきて、東~南東うねりはワイドで良くないとわかっているのですが、その理由がいまだにわかっていません。波浪に関する論文などを探しても、さすがにサーファー向けに書いてある論文はほとんどなく、学術的に東~南東うねりがワイドになる理由を述べているものは、いままで一度も見たことがありません。どなたか、なぜ東~南東うねりだとワイドとなるのかを知っていたら、是非教えてください。
個人的な仮説では、
1;黒潮の影響
2;地球の自転による効果
のどちらかではないかと思っています。

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