服部予報士のウラナミ『道明寺と長命寺』

服部予報士

服部予報士
服部予報士 サーフレジェンド所属気象予報士、防災士。 小学校の理科の授業で天気に興味を持ち、大学は海洋気象を専攻。 TV・ラジオでの気象解説や、古民家イタリアレストランの店長などの経験を持つ。 「天気と海、旬の食材と話題を通して季節の移ろいを感じられる」ことを ライフワークとして、メッセージを伝えてゆきたいと思います。

桜とお寺w

タイトルだけでピンとくる方もおられることと思いますが、、、春の代表的な和菓子「桜餅」に関する話題です。

あなたの知っている「桜餅」をイメージしてみて下さい。

どんな桜餅が浮かんできましたか?

クレープ状の生地にこし餡が包まれて、塩漬けされた桜の葉で包まれたものでしょうか?
もち米のような生地に餡が包まれ、塩漬けされた桜の葉で包まれたものでしょうか?

そうなんです。桜餅には異なる2つのスタイルが存在するんですよね。

先にあげたクレープ状の生地に包まれたものは関東風の「長命寺(ちょうめいじ)」で、もう一方は関西風の「道明寺(どうみょうじ)」です。

長命寺

長命寺

道明寺

道明寺

ともに塩漬けした桜の若葉、おもにオオシマザクラの葉で包まれていますが、これを食べるか食べないかも東と西で分かれます。

桜の葉を剥がしてお餅にうつった香りを愉しみながら食べるのが関東風の長命寺に対して、そもそも桜の葉が剥がしにくいということもあり、お餅と一緒に食べるのが関西風の道明寺です。

個人的に私は関西風の道明寺が好きなのですが…桜餅は東京生まれのお菓子で、向島の長命寺の門番・山本新六が作って売り出したものが元祖だそうです。これが関西に伝わる間に生地が変化した様ですが、関西風の道明寺で使われている生地は「道明寺粉」と呼ばれています。

道明寺粉は、もち米を蒸して乾燥させ、それを粗挽きしたもので、保存食として用いられていました。大阪府藤井寺市に道明寺があり、神前にお供えしたお餅で作っていたことに由来しています。

ところで、お餅を包んでいる塩漬けしたオオシマザクラの葉ですが、これは全国で使用される桜餅の約7割が伊豆で生産されているそうです。以前は、食べると健康に良くないとの噂がありましたが、普通に召し上がる分には健康を害するような危険性はありません。塩漬けした桜の葉はクマリンという独特な芳香成分が生まれ、桜餅に春の香りを添えて私達を楽しませてくれます。

桜葉や桜花の塩漬けする様子は「石舟庵(せきしゅあん)」さんのホームページで[top]=>[季節のお菓子]=>[桜まんじゅう]からご覧いただけます。
http://www.sekishuan.co.jp/ec/

昔から「花より団子」、「色気より食い気」。英語ではちょっとニュアンス変わりますが「Bread is better than the songs of birds.(鳥の歌声やさえずりよりもパンのほうがいい)」と言われますが、もしお花見に乗り遅れてしまった!という方は、桜餅で満開の桜を想像して楽しんで下さい!(了)

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