唐澤予報士のウラナミ『どうなる9月の台風!?』

唐澤予報士

唐澤予報士
唐澤予報士:1991年、沖縄でサーフィンを始める。(スノーボードも開始)  1993年、初めてフルマラソンを完走。1999年、気象予報士資格を取得し登録。現在に至り、一児(娘)の父です。

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2021年8月8日の台風による辻堂の波と天気図

まずは、この度の大雨による被害にあわれた方に心からお見舞いを申し上げます。

今年の夏は、異常でしたね。猛烈な暑さが続いたかと思ったら、一転して涼しくなって大雨が続きました。今回の8月中旬の西日本から東日本にかけて停滞した前線による記録的な大雨は、シベリア東部に停滞性の高気圧が出現し、上空の偏西風が蛇行し、オホーツク海高気圧と前線が発達するなどの極めてまれな条件が重なって、多量の水蒸気が日本上空に流れ込んだためと考えられているようです。

残暑へと戻ったなか、カレンダーに目を向けると、9月23日は秋分の日となっており、気がつけばあっという間に秋となりそうです。

ということで本格的な台風シーズンとなりますね。なお、今回の大雨によって地中に大量の水がしみこんでいて地盤が緩んでおり、土砂災害等の恐れがある所もあるでしょう。サーフィンのための台風の予報を語りたいと思いますが、是非防災にも活用していただければと思います。

このウラナミを書いている8月19日時点では、日本のはるか南海上に熱帯低気圧があるのですが、台風へと発達する予想にはなっていません。なので、現時点で発生した台風は11号までとなります。このうち、台風8・9号は上陸し、2・3・5・6・10号は接近となっており、今年は例年よりもやや多く台風が接近・上陸となっています。(ちなみに、1~8月の台風の平年値は、接近数は4.8個、上陸数は1.7個となっています。)

この台風の平年値ですが、9月においては、発生数は5.0個、接近数は3.3個、上陸数は1.0個となっています。まさに9月が一年のなかで台風のピークといえます。

さて、その9月ですが、今年はどうなりそうなのかを勝手に予想してみます。

まずは台風発生域である太平洋西部熱帯域の海面水温を確認してみると、ミンダナオ島の東からニューギニア島の北では平年より高い状態が続いていますが、その他の地域では平年並となっている所が多くなっています。このことから考えると台風の発生数はほぼ平年並になるかと思われます。
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2021年8月の海面温度の平年偏差

では、台風の進路はどうなるかとなります。台風は太平洋高気圧の縁を沿って北上してきます。この太平洋高気圧ですが、例年よりも西に張り出しやすい状態が続きそうです。この太平洋高気圧の西の縁に沿って台風が北上してくるのであれば、西日本を中心に上陸、ということになりそうです。

なお、台風の進路予報ですが、現在気象庁ではマルチアンサンブルという手法を用いています。アンサンブル予報という数値予報の方法があるのですが、マルチアンサンブルは日本の気象庁、欧州中期予報センター、米国環境予測センター、英国気象局が行っているアンサンブル予報を、さらにアンサンブルするという最新かつ最も優れた進路予想とのことです。そんな、最新手法による台風進路予想ですが、そうはいっても誤差や違いが生じます。台風発生時(または発生が予想される時)は、つねに最新の台風情報を含めた予報・情報を確認するようにしてください。

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