突然ですが、トナカイの語源を知っていますか? 英語・ドイツ語・フランス語・ロシア語などではなく、実はトナカイとはアイヌ語の「トゥナカイ」または「トゥナッカイ」に由来しているのです。(一方、イクラは元々日本語ではなく、魚卵を意味するロシア語の「イクラー」に由来しています。)
では、北海道にトナカイがいるのか? 現在、いることはいるのですが、商用に飼育されているので、過去に天然の状態でいたことはありません。
ではでは、なぜ、北海道にいなかったのに、アイヌの人(この用法は正しくは間違い。「アイヌ」とはアイヌ語で「人」を表しており、「アイヌ人」では「人人」ということになる)はトナカイを知っていたのか? それは、アイヌには国境がなかったからです。アイヌは北海道だけではなく、南は本州、北は樺太や千島列島に住んでおり、シベリア極東部やカムチャツカ半島に住む先住民族と交流を行っていました。これらのトナカイが住む北極圏地域先住民と交流を行うなかで「トナカイ」という言葉とトナカイの毛皮がアイヌに伝わり、さらにアイヌと倭人との交易によって日本にもトナカイという言葉とトナカイの毛皮が入ってきたとのことです。
クリスマスが近づくと流れる「真っ赤なお鼻のトナカイさんは~♪」のなかにアイヌ語が入っており、日常とクリスマスソングの中に溶け込んでいます。たいしたことではないのかもしれないですが、日本の豊かな多様性が表れているのではないでしょうか。
今年、文化の継承や地域振興を後押しするアイヌ民族支援法が成立しました。また、来年2020年には北海道白老町に、アイヌの尊厳を尊重してアイヌの歴史・文化等を復興するナショナルセンター「民族共生象徴空間」として、「国立アイヌ民族博物館」「国立民族共生公園」が誕生します。北海道にスキー・スノーボード、サーフトリップに行くことがあったら、是非訪問することをおすすめします。