唐澤予報士のウラナミ『今年の夏と台風』

唐澤予報士

唐澤予報士
唐澤予報士:1991年、沖縄でサーフィンを始める。(スノーボードも開始)  1993年、初めてフルマラソンを完走。1999年、気象予報士資格を取得し登録。現在に至り、一児(娘)の父です。

エルニーニョ

春分の日が過ぎました。各地より桜の開花宣言も聞かれるようになりました。皆さんが待ち焦がれていた本格的な春がやってきました。ゴールデンウイーク終了後には沖縄などから梅雨入りの声が聞こえるようになり、7月以降は夏となり、その後はサーファーにとってのメーンシーズンとなる台風の時期となりますね。冬の間は休眠していたものの、これから再び海へと足が向かう方が増えるのではないでしょうか。

 

2月末に、気象庁から「夏の天候の見通し」(暖候期予報)が発表されています。また、同時期に3~5月の「向こう3か月の天候の見通し」も発表されています。これらの長期予報をもとに、今年の夏に向けての波の動向を考えてみたいと思います。

 

まず、今夏の長期予報における最重要ポイントは、「エルニーニョが継続される」にあります。気象庁の見解では、70%の確率で今夏にかけてエルニーニョが続く予測となっています。エルニーニョ時は、太平洋熱帯域の東風(貿易風)が平常時よりも弱く、太平洋赤道域の中~東部で海面水温が平常時よりも高くなり、熱帯性じょう乱の発生域も平常時よりも東に移ります。エルニーニョ時の統計的な傾向では、3~5月の春季においては「平均気温は、沖縄・奄美で高く、東日本で並か高くなる。日照時間は西日本の太平洋側で少なくなる」で、6~8月の夏季においては「平均気温は、西日本で低く、北日本で並か低くなる。降水量は西日本日本海側で多くなる」となっています。また、梅雨前線の活動は、平年並かやや多いとなります。

 

また、エルニーニョ以外においては、上空のチベット高気圧は平年よりも弱く、太平洋高気圧は日本の南東では強くて、日本付近への張り出しは弱い、と予想されています。

 

このことにより、波に関する影響は以下になるのではないかと推察します。

〇太平洋赤道域中部での積乱雲の発生は多いものの、太平洋高気圧に抑えられて北上はしづらい。

〇インド洋北部~フィリピンの東では積乱雲(熱帯性じょう乱)は平年よりも少ない。

〇太平洋高気圧の南東への張り出しが強いため、インド洋北部~フィリピンの東で発生した積乱雲が通常よりも西の沖縄~台湾~大陸方面に向けて進む傾向となる。

 

上記を一言でまとめると、「今年の夏にかけては、例年よりも台風による波が立つ機会は少ない」となるかと思います。災害等を考慮すると悪くはないのですが、我々サーファーにとっては少し残念なことになりそうです……。

といっても、決して台風による波が無いわけではありません。貴重な台風の波を外さないように、ぜひ「波伝説」をご活用いただければと思います!!

 

 

 

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