服部予報士のウラナミ『火災と乾燥』

服部予報士

服部予報士
服部予報士 サーフレジェンド所属気象予報士、防災士。 小学校の理科の授業で天気に興味を持ち、大学は海洋気象を専攻。 TV・ラジオでの気象解説や、古民家イタリアレストランの店長などの経験を持つ。 「天気と海、旬の食材と話題を通して季節の移ろいを感じられる」ことを ライフワークとして、メッセージを伝えてゆきたいと思います。

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(消防庁配布啓蒙活動用ポスター)
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2月末にオフィスの消防点検を受け、何事もなく無事に終了となり3月を迎えました。
そして、時期同じくして3月1日(水)~7日(火)は「春の全国火災予防運動」の期間に当たります。

火災が発生しやすい時季を迎えるに当たり、火災予防意識を普段以上に高め、火災の発生を防止しようという啓蒙期間になります。

では、本当に火災が発生しやすい時季なのか見てみましょう。

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【消防庁「平成27年における火災の状況」より】

10月もそれなりに件数は多いですが、大きな塊としては1月~5月にかけて火災件数が多くなっている様子が伺えます。

ちなみに、出火原因のうち建物火災に絞ってみると、「こんろ」が全体の15.4%、「たばこ」9.9%、「放火」8.3%、「ストーブ」5.4%、「放火の疑い」4.5%となっています。また林野火災においては「たき火」26.5%、「火入れ」15.7%、「放火の疑い」6.3%、「たばこ」6.3%、「マッチ、ライター」3.3%の順となっています。(いずれも消防庁「平成27年における火災の状況」より)

原因は色々あるようですが、気象の観点で見てみましょう。

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【気象庁調べ】
冬~春先にかけての相対湿度は湿度50%前半で推移し、乾燥注意報の発表回数は増える季節という様子が伺えます。

ところで「乾燥注意報」ですが、空気の乾燥により災害が発生するおそれがあると予想したときに発表されます。具体的には、火災の危険が大きい気象条件を予想した場合に発表されますが、さらに細かく見てみると、東京地方においては最小湿度25%以下、実効湿度50%以下になると予想された場合に発表されます。

んん?最小湿度?実効湿度??

最小湿度は、一日の中で空気が最も乾燥したときの空気の湿り具合を言い、実効湿度は木材の乾燥度合いを表す数値となっています。
実効湿度は数日前からの湿度を考慮に入れて計算され、50~60%以下になると火災の危険性が高まるとされています。

これからの季節、寒さから徐々に解放され、春の温かな陽気に誘われて屋外でのイベントも増えてくるかと思います。
火の取り扱いに気をつけて、楽しい余暇をお過ごし下さい。

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