ハンマーのウラナミ『命ってなんだろう?』

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ハンマー:学生時代はウインドサーフィンが大好きで海に没頭。しかしバブル崩壊とともに遊んでばかりじゃイカンと自然と海からも遠のいでいました。現在の趣味は40過ぎから始めた空手で、強くしなやかに動けるカラダを追い求めています。仕事は営業と経理事務を担当。

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カラーヒヨコは、ミドリガメと並んで子供に大人気の縁日グッズだった。

小鳥をペットに飼う人は、多いと思います。
きっとその仕草や鳴き声が可愛(かわい)いからだと思うのですが、皆さんはいかがですか?

ちなみに最近の縁日の様子はどうか知りませんが、私が子供の時にカラーヒヨコを親にねだって買ってもらったという思い出があります。

小さいうちはヨチヨチ歩きでか弱くて、外に出そうものなら野良猫のエジキになりかねないので、家の中で段ボール箱の中に入れて大事に飼っていました。学校から急いで帰ると、食欲旺盛にエサをねだるので毎日が楽しみで仕方ありません。

しかしカラフルだったヒヨコですが、もちろん着色されていました。普通の鶏になると、そんな蜜月も長くは続きませんでした。

可愛いかったヒヨコはみるみると大きくなり、オス鳥特有のトサカが生えだしたのです。歩き方もとても逞(たくま)しく成長したので、昼間は庭に移して放し飼いにしたのですが、もはや猫など敵ではありません。先住民の番犬でさえも追い回すようになりました。

もちろん彼(元ヒヨコ)はペットなのですが、基本的にご主人様の指示なんかには従いません。おまけに庭でミミズを探すので地面が掘り起こされ凸凹の荒地のようになってしまいました。

また朝晩かまわず鳴き声を発し、糞尿の臭いもキツいので、ご近所にも迷惑な問題となってしまいました。すでに手に負えない状態だったのです。

そしてある日のこと、とても静かな我が家の夕食に彼は姿を変えて「メインディッシュ」として登場しました。
両親が申し訳なさそうに理由を話してくれました。どうやら近所の市場の肉屋に頼んで、さばいてもらったそうです。

彼が食材になってしまったことを、その場では理解することは出来ませんでした。犬や猫であったならこんな目には遭わなかったろうになあ。訳のわからない感情が湧き出してきて、涙が止まりません。それが「不憫(フビン)」という感情なのでしょう。

私にはこの経験がとてもショックでした。
何故か泣きじゃくりながら「美味しいよー。ありがとう。」と言っていたそうです。とても彼に感謝して、美味しく頂いたのだと…。

きっと命を頂くという事の大切さ、そして生きるために食すという、その残酷さを切実に知る機会だったのかもしれません。おかげで食事を頂く時には、その先に尊い命の存在がある事を、ぼんやりですが意識のどこかにインプットされていて、「残さず食べよう。そして感謝しよう。」と今でも想えるようになった気がします。

あれからおよそ半世紀。
先日、近くの公園にイベントとして移動動物園がやってきました。

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もしもヒヨコがダチョウサイズだったとしたら、恐竜を祖先に持つ鳥にとって人間はエサかもね。

もしもヒヨコがダチョウサイズだったとしたら、恐竜を祖先に持つ鳥にとって人間はエサかもね。

ゲージの中にはウサギやハムスターなどと一緒にカモやアヒルのほかに、高級な卵で有名なウコッケイや七面鳥だか知れない鳥も交じっています。とても珍しいと何気なく撮影をしたのですが…。

あの日の事を想い出してしまった私には、写真の中の彼らの眼差しがどこか悲しげでちょっとツラかったです。
byハンマー

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