
こんにちは、ナッカルビです。
「コシ〜ハラ、オフショアで面ツル」。
波情報を見慣れた人なら、これだけで気持ちよさそうな海がぱっと浮かびますよね。でも初めての人にとっては、ほとんど暗号だったりします。
同じ仲間と何度もやり取りするうちに、言葉はどんどん短くなっていく。そんな人間くさい現象が、AI同士の会話でも起きたという研究を紹介します。
約150文字の英文から「@D8fB」へ
研究したのは、米テキサス大学オースティン校や英エディンバラ大学などのチームで、言葉の進化を専門とする研究者も加わっています。2つのAIに、立方体の形をした架空の宇宙生物を救うゲームを何度も繰り返させました。
片方は症状が見えて手当てもできるけれど、治し方を知らない。もう片方は治し方を知っているけれど、患者に触れられない。しかも1文字送るごとに1秒が過ぎるルールなので、長々と説明していると患者が弱ってしまいます。
最初のころの指示は「背面の各角でベルを優しい音で短く鳴らし、その角で交わる2辺を熱した石で8秒温めて」という、英語で約150文字の丁寧な文章でした。ラウンドを重ねるうちに指示は略語まじりのメモ書きになり、最後は「@D8fB」のたった5文字で相手が動けるようになったそうです。

ちなみに、わざわざ架空の生き物にしたのは、人間の患者だとAIが自前の医学知識で治し方を思いついてしまい、相談する必要がなくなるからだとか。物知りすぎるのも、実験では困りものなんですね。
参考:GlossoGen: Emergent Language in Complex Multi-Agent LLM Interactions(論文・arXiv)
日本語解説:AI同士に共同作業をさせたら人間には読めない「独自言語」を生み出して会話し始める現象が観測される(GIGAZINE)
決め手は「反省会」
新しい言葉が生まれたのは、3つの条件がそろったときだけでした。急がなければならないプレッシャー、ラウンドの合間に時間無制限で話し合える「反省会」、そして性能の高いAIモデルです。AIたちは反省会で前のラウンドを振り返り、言葉の決まりごとを話し合っていました。
成績のよかったチームは独自の言葉を使い、成果が振るわなかったチームは英語の略語どまりで時間切れになっていたそうです。しかも出来上がった言葉には、文法のようなルールまでありました。たとえば「Lb」は明るいランプ、「Ld」は暗めのランプ。ランプを表す「L」の後ろに明るさの文字がつくので、英語とは語順が逆なんですね……興味深い結果です。

新入りのAIも直ぐに覚えてしまう
途中でチームの片方を新入りのAIに交代させると、新入りは決まりごとを教わらなくても、過去のやり取りを見るだけで同じ言葉を覚えていきました。分からない記号があると「P7?」と聞き返す行動まで、誰も教えていないのに自然に出てきたそうです。自分では言葉を作れなかった性能控えめのAIも、ある程度は覚えることができたとのこと。
研究チームが気にしているのは、まさにここなんです。隠せとも暗号にしろとも言われていないのに、人間には読めない言葉が生まれ、しかも広がっていく。我々人間がAIの仕事ぶりを評価する方法の多くは、AI同士の会話が読めることを前提にしているので困ります。
そこで研究チームは、この実験の場を誰でも使えるように公開し、幅広い分野の研究者に参加を呼びかけています。
参考:AI agents evolve their own languages(Schmidt Sciences)
まとめ
短い言葉に、たくさんの情報を詰め込む。やっていることは、冒頭の「コシ〜ハラ、面ツル」とよく似ています。
違うのは、波情報の言葉には答え合わせの手段があること。意味はWeb検索はもちろん波伝説の記事(以下のサーフィン用語図鑑)でも調べられます。AIの言葉も、人間があとから確かめられるものであってほしいところです。
サーフィン用語図鑑
Vol.1:海に入るうえでよく使われる基本用語
Vol.2:波に関する基本用語
Vol.3:波情報に関する用語
番外編:海で役立つサーフィン知恵袋
いつかAIが波情報を届けてくれる日が来たとしても、人間がわかる言葉で伝えてほしいですね。
では、次回もよろしくお願いします。
