
こんにちは、ナッカルビです。
「ツバメが低く飛ぶと雨」という言い伝え、聞いたことはありますか?
雨が近づいて湿気が増えると、虫の羽が重くなって低いところを飛ぶようになり、それを食べるツバメも低く飛ぶ……という理屈なんだそうです。
昔の人は、細かい理屈は分からなくても「こうなったら、次はこうなる」というパターンを経験で覚えていたんですよね。
実はいま、天気予報でも、「経験」から未来を読む取り組みが盛んになってきています。
「計算で解く」予報と「経験から学ぶ」予報
これまでの天気予報は、大気の動きを物理の方程式で表し、スーパーコンピューターで未来を計算する「数値予報」が主役でした。
10日先の予報を出すのに、数百台規模のマシンで数時間かかることもあるそうです。
実は波伝説の独自予報も、裏側ではコンピューターによる膨大な計算で作られています。
未来を計算で読む……これが本当に時間のかかる処理なんですよね。
そこに登場したのが、AIによる予報です。
代表的なモデルでは過去約40年分の気象データを学習し、「この空模様の次は、こうなりやすい」というパターンから未来を導き出します。
ツバメを見て雨を読む感覚を、とてつもない規模で再現しているイメージですね。

速さも精度も、すでに互角以上
たとえば、GoogleのAI研究部門「Google DeepMind」が開発したAI予報モデル「GraphCast」。
10日先の予報を1分以内で作成し、比較した項目の90%以上で、ヨーロッパの国々が共同で運営する予報機関・欧州中期予報センター(ECMWF)の従来モデルを上回ったと発表されています。
その後に登場した「GenCast」は、少しずつ条件を変えた予報を何通りも出して「起こりうる天気の幅」まで示す、アンサンブル予報という方式のAIモデルです。
こちらは15日先までの予報で、97.2%の項目において従来のアンサンブル予報を上回ったそうです。
さらに2025年2月には、そのECMWF自身がAIの予報モデル「AIFS」の本格運用を始めました。
研究の段階を超えて、予報の現場で使われる時代に入ってきているんです。
参考:GraphCast: AI model for faster and more accurate global weather forecasting(Google DeepMind)
参考:GenCast predicts weather and the risks of extreme conditions with state-of-the-art accuracy(Google DeepMind)
参考:ECMWF’s AI forecasts become operational(ECMWF)
AIにも苦手なことがある
ただ、AIも万能ではありません。
学ぶ材料が過去の出来事なので、めったに起きない極端な現象の予測は苦手だと指摘されています。見たことのない空模様には、ベテランでも戸惑うのと同じですね。
ちなみに、AIが学ぶこうしたデータも、観測値と物理モデルの計算を組み合わせて作られたものだったりします。
「計算」がなくなるわけではなく、計算が土台を作り、AIがそこから学ぶという二人三脚の関係なんですよね。
参考:AIが変える気象予測:高精度化と新たな課題(JIRCAS)

まとめ
毎日なにげなく見ている予報の裏側では、「計算」に「学習」という新しい相棒が加わりつつあります。
風を読み、波を読む。その「読み方」そのものが、いま静かに進化しているんですね。
ツバメを見上げていた昔の人の知恵を、いまはコンピューターが受け継いでいる。そう思うと、ちょっと親しみが湧いてきませんか?
では、次回もよろしくお願いします。
