米山予報士のコラム4回目『2022年の台風、波の上がり始めと波の良い日』

米山予報士

米山予報士
米山予報士/大学を8年で卒業。その間、勉強などせず、山と海で遊ぶか家に引きこもっていました。当然、就職などまともにできるはずがなく、社会人経験もゼロ。なのに30歳になってしまいました。ただ、山のおかげで天気図に興味をもち、サーフィンをやっていたから気象予報士になれたと思います。サーフィンと気象、波情報の業務を精一杯頑張りたいです。

HMW822091703.202214

こんにちは。
2022年は台風が21号まで発生(10月19日現在)し、平年と同じくらいの発生数となっていますが、台風で楽しめる日もあったのではないかと思います。

波の上がり始めた日

台風のうねりが入る目安(沖縄などを除く)として、北緯20度線が目安とされていますが、湘南では2022年の台風はどうだったのか調べてみました。
まず今年、波の上がった台風は10個ありました。
そして、それぞれ台風のうねりが入り始めた位置は次の図のようになっています。なお、台風のうねりが入り始めた目安は腹以上のサイズとしています。

うねりの入り始めた位置

うねりの入り始めた位置

これを見てみると、北緯20度以下でうねりが入り始めたのは1回のみとなります。また、北緯25度以下も2回のみで、8割の台風が北緯25度以上でうねりが入り始めています。

次に、台風の発生した緯度を調べると、2022年は日本の近くで発生した台風が例年よりも多いことが分かりました。日本気象協会の望月圭子さんの調査(https://tenki.jp/forecaster/keiko_mochizuki/2022/09/08/19386.html#:~:text=2022%E5%B9%B4%E3%81%AE%E5%8F%B0%E9%A2%A8%E3%81%AF,%E3%81%99%E3%82%8B%E5%8F%AF%E8%83%BD%E6%80%A7%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82)によると、2013年以降、今年は最も割合が高いそうです。(9月7日までのデータ)
また、望月さんは日本の近くで発生した台風が多い原因の一つとして、海面水温が高いエリアが日本の近くまで北上していることも指摘されています。

つまり、海面水温の高いエリアが北上し、日本の近くで発生する台風が多いため、台風のうねりが入り始める緯度も高くなっていることが分かります。

波の良かった日

それでは、波の良い日はどうだったのでしょうか。波の良い日を△40が4回以上、半日程度以上とすると、今年は6日間ありました。それぞれの台風の進路や勢力、サイズなどを示した図が次になります。米山 プレゼン (52)

米山 プレゼン (53) 米山 プレゼン (54)



これを見ると、950hPa以下の発達した台風(おおむね非常に強い台風か猛烈な台風)の時に北緯25度前後、東経130〜140度前後で波が良くなっています。米山 プレゼン (57)
波の良かった翌日はハードになっていることが多いので、発達した台風の場合、それ以上日本に近づくと、うねりや風が強まり過ぎる傾向があります。ただし、台風1号のようにハードだった日の翌日は良くなることもありました。
また、発達していない台風でも、サイズが上がり、波の良い日はありましたが、より日本に近い位置にならないといけないので、風(オンショア)も強く吹きやすく、コースが重要になると思います。台風17号は、日本の南東海上を北東進した時に、オーバーヘッドまでサイズが上がり、△40が4回、△50が1回になりました。米山 プレゼン (55)

台風17号は世界気象機関(WMO)の分類によると、最も勢力の弱いカテゴリー1に分類されますので、勢力の弱い台風でも、希に波の良い日があることが分かります。

今後の台風

今後の台風で心配なことは、海面水温の上昇によって日本の近くで発生する台風が増えると、日本に接近するまでの時間が短く、波の良い日が続かないことが多くなるのではということです。また、日本付近は偏西風帯で上空に強い西寄りの風が吹いているので、移動速度も速く、これも波の良い日が続かない要因になると思います。できれば、遠くの海域で発達した台風が増えてくれるとありがたいですね。

※サイズと点数などは割れやすい鵠沼のものです。

最近の記事

関連する記事