米山予報士のコラム1回目『南岸低気圧型の台風①』

米山予報士

米山予報士
米山予報士/大学を8年で卒業。その間、勉強などせず、山と海で遊ぶか家に引きこもっていました。当然、就職などまともにできるはずがなく、社会人経験もゼロ。なのに30歳になってしまいました。ただ、山のおかげで天気図に興味をもち、サーフィンをやっていたから気象予報士になれたと思います。サーフィンと気象、波情報の業務を精一杯頑張りたいです。

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皆さん、こんにちは。

まだ台風シーズンには早いですが、20℃近い日もあり、確実に暖かくなってきていますね。

台風は低気圧と違い、縦横無尽に様々な進路を通りますが、たまに南岸低気圧のような進路になることがあります。湘南の場合、南岸低気圧の通過後にサイズアップし、波が良くなることが多いのですが、台風の場合はどうなのか調べてみました。

今回は南岸低気圧のような進路を通った2021年台風10号と2018年台風5号、2017年台風22号の時の波を、うねりに敏感で割れやすい鵠沼のサイズと点数で比較しています。



2021年台風10号

米山 プレゼン (4)

沖縄近海で発生し、日本の南海上を東進しました。関東に接近したのが8日朝です。ちょうど最低気圧980hPaとなった時に最接近しました。

8月7日

台風が南海上を通過する前日は、腰〜腹前後。▼30が5回、△40が4回でした。
腹前後のサイズでしたが、△以上が4回あり、まずまず遊べていました。

8月8日

台風が南海上を通過した日は、腰〜オーバーヘッド。▼20が1回、▼30が2回、△40が5回、△50が1回でした。
台風が最接近し、オーバーヘッドまでサイズアップしました。北風が強く、オフショアにあおられましたが、△以上は6回あり、前日よりもサイズ・波質が上向いていることが分かります。

8月9日

台風が東海上へ進んだ日は、腹〜頭オーバー。×0が4回、▼20が5回でした。
サイズは残りましたが、×が5回あり、南寄りの風でジャンクになっていました。
2021年台風10号 (1)(当時の記録)



2018年台風5号

米山 プレゼン (5)

フィリピンの東で発生し、南大東島付近で大型で強い勢力(970hPa)になり、その後、勢力を弱めつつ、日本の南海上を速度を上げながら北東進しました。

6月10日

台風が南海上を通過する前日は、ヒザ〜モモ前後。▼20が9回でした。
サイズ不足で▼20でした。

6月11日

台風が南海上を通過した日は、ヒザ〜頭半前後。▼30が8回、△40が1回でした。
大きくサイズアップしましたが、△40が1回のみで、アベレージだと▼30なので、波質はさほど良くなかったみたいでした。

6月12日

台風が東海上へ進んだ日は、頭〜頭半。×10が2回、▼20が1回、▼30が3回、△40が3回でした。
×10もあり、ハードな時間帯もありましたが、△40が3回あり、前日よりも遊べていました。
2018年台風5号 (1) (1)(当時の記録)



2017年台風22号

米山 プレゼン (6)

マリアナ諸島付近で発生。その後は発達しながら(最低気圧は975hPa)沖縄付近まで北上し、日本の南海上を東進しました。

10月29日

夜に台風が南海上を通過したので、情報は通過前のこと。腹〜肩。▼30が8回、△40が2回でした。
ずっと腹くらいで▼30が続いていましたが、夕方に肩くらいになり、△で遊べるようになりました。

10月30日

台風が温帯低気圧に変わり東海上へ進みました。腹〜頭半前後。▼20が2回、▼30が1回、△40が4回、△50が1回でした。
夜に台風が通過したので、夜明け前はハードでしたが、△以上が5回あり、徐々に落ち着き、遊べていました。辻堂は8時近くの情報で○80点がつき、このシーズンで一番良い点数でしたが、夕方は低気圧が北上し、オンショアがやや強まっていました。

2017年台風22号 (3) (1)(当時の記録)



3つの台風を検証

この3つの台風でいえることは、台風が南海上を通過する前よりも通過後のほうがサイズ・波質が良くなっていることが多いことです。
米山 プレゼン (9)米山 プレゼン (10)
台風は日本に接近していると通過する前からサイズはある程度ありますが、サイズがピークになるのは南岸低気圧と同じく通過後であることが多いことが分かります。
また、湘南は台風や低気圧が南海上を通過後に形の良い南西うねりが入り始めることが多いので、通過後に点数が高くなっている要因ではないかと思います。
さらに、2017年台風22号が夜のうちに南海上を通過し、温帯低気圧となって東海上へ抜けた日は辻堂で〇80になりました。この点数は湘南ではここ数年間で最も高い点数でした。台風の場合は通過する前も程よくできる時はありますが、数年に1回クラスの良い波も通過後のほうが可能性は高そうです。

ただ、南海上を通過後に台風が東へ行かず、北上すると南風が強まりジャンクになることもあります。また、接近した時は荒れた天候や高潮の影響、うねりが強まり過ぎて危険な状態になることもありますので、その都度変わるコンディションの変化に対応しないといけません。

次回は今回とは少し違う南岸低気圧型の台風を比較してみたいと思います。

つづく

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