Be-YOU-tiful People『Follow your heart(心に忠実に生きる) アンドレア・モーラー(Andrea Moller)Vol.2』

岡崎 友子

岡崎 友子
オーシャンアスリート&ジャーナリスト
鎌倉出身。16歳でウインドサーフィンを始め、大学に入ってからマウイに通い、90年代にはウエイブ年間ワールドランキング2位など入賞多数。他にスノーボード、カイトサーフィン、サップ、フォイル、ウイングなどでも黎明期から関わり、世界の情報を日本に紹介している。自分が恩恵を受け、常に多くを学んできた自然を大事にしていかなければという危機感から、近年はキッズキャンプや環境活動にも力を入れている。

アウトリガーカヌー

彼女の価値観を大きく変えたスポーツの一つであるアウトリガーカヌー。海峡横断などのレースで何度も優勝した (Andrea’s photo collection)

 

その後のアンドレアは、ウインドサーフィンだけでなく色々なオーシャンスポーツをやるようになる。

『もともとウインドサーフィンのためにマウイに来たのだけれど、私とマウイを固く繋(つな)げて、マウイがホームだと感じさせてくれるようになったのは“アウトリガーカヌー”なの。
ウインドサーフィンは、とても個人的なスポーツで、自分のギアで好きな時に行って練習するものよね。サーフィンは、マウイに来てから始めたんだけど、ビーチに仲間はたくさんいるけれど、基本的には一人でやるものよね。でもアウトリガーカヌーはチームスポーツ。さらにライフスタイルさえもそれに合わせなくてはならないほどのコミットメントが必要なの。面倒臭いこともあるけれど、チームメンバーを強く結びつけるし、何事にも助け合い、励まし合える、心から分かり合える家族を得ることができたわ。私を常に引っ張って、支えて、色々と教えてくれたジョセリンという先輩が、大きな影響を与えてくれたの』

『カヌーでの団体行動で身についたことの一つには、自分の家族と常に共にあるということ。血の繋がった家族だけでなく、カヌーで繋がった家族、あるいはビッグウェイブで繋がった家族もすべてひっくるめてね。
自分よりも恵まれない仲間をサポートすることは当然のこと、家族なのだから。誰もが幸せでいてほしい。そんな気持ちを持つのも、ハワイの大自然、そして、ハワイの神さまとアロハスピリッツが海を通して教えてくれているのかもしれないわね』

 

『あなたがやってきたことの中で一番の功績は何だったのかとよく聞かれるんだけど、アウトリガーカヌーに関して言えば、ジョセリンとの友情ほど大きなトロフィーは無いと断言できるわ。(カヌーの)パドリングに関わる全てのプロセスは、どんな勝利にも代え難い財産なの。その過程を共に過ごし、漕ぎ続け、苦難を一緒に乗り越え、涙を流した仲間ほど大切な宝物はなかなか得られないと思うの。これはウインドサーフィンにも、ビッグウエイブにおいても同じことだけど、すべての結果において、行きつくまでのプロセスの方がずっと重要だし、自分の中にも残っているわ』

トゥインサーフィンも初期の頃から挑戦していて、ペアヒ(ジョーズ)でトゥインをした初めての女性ペアチームでもある (photo Andrea's collection)

トゥインサーフィンも初期の頃から挑戦していて、ペアヒ(ジョーズ)でトゥインをした初めての女性ペアチームでもある (photo Andrea’s collection)

マウイは、海が大好きな彼女にとっては、子どもにとっての遊園地のようだった。

サーフィンは、マウイに来るまではやったことがなく、ウインドサーフィンにしても、どちらかというとレース思考で波に乗るタイプではなかったそう。
また、ウインドサーフィンの波乗りをさらに上達させたいためにサーフィンを始めたのだという。

『父にとって、少女時代のサーファーっていうのは、マリファナを吸って将来を考えていない若者というイメージがあってあまり好きではなかったから、ブラジルではサーフィンは一切していなかったの。今じゃ全く違うわね。プロサーファーは、トップアスリートとして成功すればビジネスマンよりも稼げるし、リスペクトもされる。時代は変わったわね。(笑)』

 

『マウイは、ウインドサーフィンにとって世界一のコンディションだし、カヌー、サーフィン、潜り、全てにおいてスケールが大きく、それに見合うマスター達が素晴らしいパフォーマンスを見せてくれるから、自分をプッシュするには最高のフィールドよね』

『素晴らしいコンディションがあったとしても、これだけたくさんの情熱と才能を持った人たちが集まっていなければ今のマウイはなかったと思うわ。波と風とそこに集まる人間が、今のマウイを作り上げたのだと思うの。そして、それに惹かれてさらにたくさんの人が世界から集まってくる。大自然と向き合っているからこそ、環境に対しても人に対しても謙虚だし、ここにいるということが恵まれていることも忘れないのよね』つづく

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