Be-YOU-tiful People『Pe’ahi Beckons Vol.2』

岡崎 友子

岡崎 友子
オーシャンアスリート&ジャーナリスト
鎌倉出身。16歳でウインドサーフィンを始め、大学に入ってからマウイに通い、90年代にはウエイブ年間ワールドランキング2位など入賞多数。他にスノーボード、カイトサーフィン、サップ、フォイル、ウイングなどでも黎明期から関わり、世界の情報を日本に紹介している。自分が恩恵を受け、常に多くを学んできた自然を大事にしていかなければという危機感から、近年はキッズキャンプや環境活動にも力を入れている。

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誰も手を出そうとしない巨大なセットも Si Crowther

“ビッグウェイブサーフィンヒストリーの新しい1ページ”

ヒート2は、前評判通りカイ・レニーがまず掘れた波でショートボードのようなマニューバーを描く。
なぜかこのヒートは中盤中だるみのように全く波が入ってこなかったため、選手の中には焦りも出たかもしれない。
しかし、波の選択を間違えると一つのワイプアウトが体力も精神力も極度に消耗させる。
波の選択が素晴らしかったイアン・ウオルシュ、そして唯一マニユーバリングをするカイ・レニーがきっちりと決めて勝ち上がり、グーフィーフッターでポルトガル出身のニック・ボン・ラップがセットの波を綺麗にメイクして、マーク・ヒーリーを抑えてヒートアップした。

ヒート3は、2ヒート目とは大違いで、ビッグウェイブがどんどん押し寄せてきた。
波に乗ることよりも、セットを頭から何度も食らわずに波を掴むことの方が大きな課題ではあったが、ほとんどの選手が巨大なセットに巻かれて容赦なく痛めつけられた。
そんな中ネイサン・フローレンスは、兄ジョンジョンを思わせるスムーズなライディングをこのハードな波で見せて、チューブの奥深くまで入り、見る者を唸(うな)らせた。
ニック・ラムは、カリフォルニア出身でマーベリックスをベースに世界中のビッグウェイブを追いかけているが、ジョーズでも既に常連であり、ハードな攻める波乗りをしてヒートアップした。
ピアヒチャレンジで3回優勝している優勝候補の一人ビリー・ケンパーは、なかなか良い波が掴(つか)めずにいたが、ヒートアップしないわけにはいかない。
最後には、きっちりと彼らしいノースピークのビッグセットを掴み、堂々とヒートアップした。

大口を開けたジョーズの分厚いリップがアルビーレイヤーを直撃した瞬間 Si Crowther

大口を開けたジョーズの分厚いリップがアルビー・レイヤーを直撃した瞬間 Si Crowther

優勝候補でピアヒチューブマスターのアルビー・レイヤーは、1本目の波で分厚いリップが首か背中を直撃するようなワイプアウトによって脳震盪を起こし、本調子はでず、残念ながら敗退した。
しかし、死んでもおかしくないこの波のコンディションの中で無事だっただけでも、ラッキーに思えるような恐ろしいワイプアウトだった。

今自分のいる場所を呪いたくなるようなシチュエーションにいるニック・ラム。この後まだその後ろにも大きな波が数本待ち構えていた WSL/Saguibo

今自分のいる場所を呪いたくなるようなシチュエーションにいるニック・ラム。この後まだその後ろにも大きな波が数本待ち構えていた WSL/Saguibo

彼だけではない、サバイブできるのが信じられないようなワイプアウトの連続、頑丈な10ftのサーフボードが割り箸のようにパキパキと何本も折れている中で、この場所でまだ一人も死者が出ていないのは何よりもセイフティークルーのスキルと情熱のおかげ。
彼らはこの場所で一番の本物のヒーローであることは間違いない。 
                    

ブラジリアンのルーカス、足腰の強靭さを感じさせる波乗り WSL/Saguibo

ブラジリアンのルーカス、足腰の強靭さを感じさせる波乗り WSL/Saguibo

ヒート4の注目株は、やはりルーカス・チャンボ。
彼ほど見ていて面白い波乗りをするサーファーも少ない。
今回もエアードロップのテイクオフやバックハンドでのリッピングなど、巨大なガンボードでクリティカルな部分を攻めまくって一位通過した。
2位には、ロスマン兄弟の弟コア・ロスマンが入った。
ノースショアヘビーズは、しっかりその存在を知らしめした。
このヒートで最も良いチューブをメイクしたと思われたローカルの若手、タイラー・ラロンドは、インターフェアを取られてトーリー・マイスターが3位で上がった。
今回インターフェアを取られた事例が2回あったが、これはもし誰かの邪魔をしてその人が波に巻かれた場合に非常に危険な状況を生むので、ジャッジの判断でそういう結果となったらしい。つづく。

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