Be-YOU-tiful People『Follow your heart(心に忠実に生きる) アンドレア・モーラー(Andrea Moller)Vol.4』

岡崎 友子

岡崎 友子
オーシャンアスリート&ジャーナリスト
鎌倉出身。16歳でウインドサーフィンを始め、大学に入ってからマウイに通い、90年代にはウエイブ年間ワールドランキング2位など入賞多数。他にスノーボード、カイトサーフィン、サップ、フォイル、ウイングなどでも黎明期から関わり、世界の情報を日本に紹介している。自分が恩恵を受け、常に多くを学んできた自然を大事にしていかなければという危機感から、近年はキッズキャンプや環境活動にも力を入れている。

パドルでピアヒへに挑戦したパイオニア

2010年、まだほとんどの人がペアヒの波をパドルで乗るなんて考えもしていなかった時期に、すでにアンドレアは仲間のブラジリアンと一緒に挑戦し始めていた。ペアヒのパドルサーフィンのパイオニアと言えるマリシオ・フィエラとユーリ・ソロデードと一緒に(photo by Tracy Kraft)

 

ウインドサーファー、6マンカヌー、OC-2、OC-1、スタンドアップパドル、ビッグウェイブトウインサーフィン、パドルサーフィンと、あらゆる種目で何年もアスリートとしてやってきた今、仕事もし、主婦業・母親業もやりながらビッグウェイブやカヌー、SUPレースで上位を狙うのは大変なこと。

 サップレースでも海峡横断では誰よりも優勝経験が多いアンドレア

サップレースでも海峡横断では誰よりも優勝経験が多いアンドレア

一時期はすべての種目で勝ち続けるための練習やトレーニングの時間が足りなくて思うようにできず、焦りがあったりプレッシャーが大きくなって辛くなった時期もあったという。

 

2016年Biggest Waveの候補にもなったアンドレアが乗った波(photo by Bruno Lemos)

2016年Biggest Waveの候補にもなったアンドレアが乗った波(photo by Bruno Lemos)

そんな時に彼女は大怪我に見舞われてしまう。

『2016年に大怪我をしたわ。その年は巨大な波にトゥインで乗った年。とても綺麗とは言い難いボコボコのフェイスの巨大な波にトゥインで乗り、ヘビーなワイプアウトをした写真が世界中に出たので、その時に怪我をしたと思われているけれど、実はその時ではないの。それでちょっといい気になってしまったのかもしれない。あんな大きな波で巻かれても大丈夫だったんだからと勘違いをしてしまったのかも。怪我をしたのは、その1週間後くらいのそれほど大きくない波の時なの。でも風が入っていて綺麗な波ではなかった。バンピーな波で、変に巻かれてハムストリングをひどく伸ばしてしまったの。アメリカ本土の病院に行き、結局3ヶ月間は寝たきりの生活。私の足は腕くらいに細くなってしまったし、体が弱くなること以上に精神面が大変だったわ。元の健康な身体に戻れるのか分からなかったから、このまま毎日寝たきりの人生になるのかもしれないと不安だったわ。でもその経験のお陰でどんなことが本当に大事なことなのかを考えさせられたの。自分にとって娘がどれだけ大切か、もし自分がいなくなってしまったらこの娘が世の中に一人残されることになるとか。そして当時ボーイフレンドだった今の夫が、どれだけ私を介抱してくれたか、その時のことが理由で私は彼と結婚することを決めたのだけど。小さなことが、実は本当に大切な幸せなことなんだと思うようになったの。

また、一番恋しかったものの一つにカヌーの仲間があった。仲間と一緒にゲラゲラと笑ったり、マケナまでドライブして海に飛び込むことなど、とにかく当たり前だった小さな幸せに、それからは感謝するようになったわ。

あとすべての人に対するリスペクトする気持ちが生まれたわ。
プロでなくても、どんな人でも素晴らしいことをしていて、自分らしく人生を生きている。その一つ一つが目立つことではなくても素晴らしいものばかり。パラメディックをしていると、命の大切さを目の当たりにし、また人生は何ぞやと考えさせられることも多いけれど、自分が大怪我をすることほどそれを理解できたことはなかったわ』つづく

 

最近の記事

関連する記事