Nobody Surf
何事もセオリー(原則)を守ることはとても大切だと思います。
しかし、あえて承知の上で、そのセオリーを破って挑戦すると、思いがけない幸運を引き寄せたり、素晴らしい結果に結びつけたりすることがあると思います。
先月、本来であれば4月からはオンショアが入ってオフシーズンになってしまう、インドネシア最西端に位置するバンダアチェに、敢えてセオリーを破って“チャレンジのサーフトリップ”を敢行してきました。簡単に言えば、ハイリスクハイリターンの“賭けの旅”でした。
ご一緒したのは葉山町にお住いの二人で、大手広告代理店時代には“伝説のCMクリエイター”と呼ばれ、現在は自ら会社を立ち上げて世界中を飛び回っている志伯(しはく)君(昨年末のモルディブでも一緒)と、その友人でハンドシェイプのシェーパーでクライアントサーファーのニーズに真摯に応えて一緒に作り上げるmonetalk(モントーク)Bespoke boardsの関沢明信君との三人旅となりました。
monetalk→https://www.monetalk.com
関沢明信が削った5’6×21×2 3/4クアッドフィッシュボード。フィンも自らウッドを探して削ります。写真の板は、テイクオフが速く、フラットデッキ~シングル~ダブルコンケーブ~テール付近をインエッジにして、固い波にもレールが入って加速しやすくしているそうです。また、ボトムをレール付近に一度ボリュームを持たせてからシャープにしているので、浮力があって、レールで加速がしやすくなっている特長の板だそうです。
今回のサーフトリップの結論から申し上げて、心配されたオンショアは、入ったとしても午後から少し強まった程度で、5日間を通して午前中を中心にGood Conditionに恵まれ、心からサーフィンをエンジョイすることができた感動の旅になりました。たまたま風の入りづらい気圧配置に恵まれてラッキーだったのでしょう。
考えてみれば、日本においても台風が毎年9月にベストコースでやって来るとは限りませんからね。決して私たちの普段の行いが良いという訳でも…(笑)
バンダアチェについては、すでに波伝説で約3年前に「Discovery IndonesiaⅡ第三弾」でコラムとして紹介させていただきました。ナイスガイでイケメンの吉川共久プロと、ブログが大人気なバリ在住の有本圭プロが参加したサーフトリップだったと言えば、思い出して頂ける方も多いかと思います。
3年前から、すでにヨーロピアンを中心にバンダアチェの混雑は始まっていましたが、今回思い切ってオフシーズンに入った4月中旬にサーフトリップしたところ、まったく混雑とは無縁なうえに、Fun Wave、時にはGood Waveに恵まれたのでした。
チェマラライト、レフト、Aフレーム、タカノリ、すべてのポイントで、毎日胸~肩たまに頭前後サイズあり、スウェルアップした最終日にはチェマラライトで4feet(ダブル以上)のExcellent Wave ◎90点をサーフすることもできました。
チェマラライト from 波伝説コラム・ウラナミ on Vimeo.
チェマラライトのGood Wave、このあとサイズアップしてEcellent Waveに!!
毎日午前中は、オフショアか無風のグラッシーコンディションをキープし、波伝説のマークで言えば、連日◇60~〇80のGood Conditionでした。しかも、我々3人だけの貸し切りの時が半分くらいもあり、それ以外の時でも、居ても外人かロコサーファーが数名だけのサーフィンパラダイスでした。
世界広しと言えども、今や自分たちだけで貸し切りか数名のサーファーだけでGood waveをシェアすることは、とても辺ぴな場所に行くか、海水温が5度以下の寒冷地、はたまたリユニオンなどシャークアタックの多いポイントに限られると言っても過言ではないでしょう。
また、私のように40年もサーフィンしていても、掘れた波は苦手で、いつも派手なパーリングをしてしまうサーファーにとっては、海外のポイントに多い、掘れて速くリップが飛ぶバレルになる波よりも、ややスローピーでピークが定点であり、なおかつ波のサイズが胸~肩サイズくらいが理想的なコンディションではないでしょうか。
今回バンダアチェに滞在した5日間で、必ずどこかのポイントでそのようなコンディションに恵まれました。
中でも、サイズが肩~頭サイズのチェマラライトのハイタイドの時と、頭前後のタカノリポイントのミッドタイドが、今回はとても楽しめるコンディションとなりました。
残念ながら、レフトとAフレームは良い波の時もありましたが従来ほどではなく、今回は他のポイントよりもやや劣っていた印象でした。
バンダアチェのメインシーズンの1~3月は、テロや噴火などがなければ訪れるサーファーは合計で軽く100人を超えてしまいます。
セット間隔が10~15分とかなり長く、しかもセットの本数は2~3本と少なく(まれに4~6本)、そのうえで各ポイントのサーファーの人数が20人を超えてしまうと、かなりのポイントパニックになってしまいますし、雰囲気もギスギスになってしまうようです。
ほとんどの日本人サーファーに最も大切なことは、Big WaveやGood Conditionではなく、サーファーの数、簡単に言えばポイントが“とても空いていること”でないでしょうか!?
最近は、世界的な人気のサーフエリアとなったメンタワイやモルディブにおいても、敢えてシーズンを外してサーフトリップするグループが少しずつ増えてきました。
波を外すリスクはあるものの、シーズンオフとなったポイントは、サーファーがガラガラである上に、空いたためロコサーファーがフレンドリーとなってとても良い空気感に包まれる傾向があると思います。(お約束はできませんが…)
これからのサーフトリップにおいてチャレンジとはなりますが、真逆の発想で敢えてシーズンオフと言われる時期に行くことも、生涯語り草になるようなサーフトリップになるかもしれません。
『チャレンジ精神のない人に成功はない!!』という諺(ことわざ)があります。
勇気を出して、ぜひチャレンジしてみてください。“Have a Good Luck!!” (了)