☆加藤のウラナミ『Surfer’s Temple Vol.2』

☆加藤

☆加藤
会社代表であり、波乗りと海が大好きなサーファーです。子どもたちに安全安心な海を残すことと、島国などへ高精細な気象情報を提供することを残る人生のライフワークにしました。サーフトリップネタが多くなりますがお付き合いいただければ幸いです。よろしくお願いします。

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朝イチのサーフィンは水平線から昇る太陽が拝めます

坂本昇氏は、八丈島に住んでからすでに35年にもなるそうですが、早朝にヨーガ(ヨガではなく正式にはヨーガが正しいそう)をし、波があればそのあとにサーフィンし、夕方早めに温泉に浸かり、その帰りに街で夕食を済ませて、早めに就寝する生活をずっと続けられているそうです。

アチェで披露されたヨーガ、それにしても68歳にしてこの身体は流石です

アチェで披露されたヨーガ、それにしても68歳にしてこの身体は流石です

お会いして二日目の朝、私は坂本昇氏からの電話で起きましたが、時間は午前4時半でした。(本当は午前4時に電話をかけたかったそうです)

午前4時半は、7月ならば明るかったものの、日の出が遅くなった9月半ばではほぼ真っ暗で、ほのかに東の空が白地んできた程度でした。

軽く朝食を済ませてポイントに着くと、坂本さんから近くに置かれているパレットの上にタオルを敷くように促され、早速簡単なヨーガ教室が始まりました。

10分間くらいで終わる、サーフィンにはとても良いヨーガなので、宜しければ皆さまもサーフィン前の準備運動に導入されてみてはいかがでしょうか。

1. まず体育座りをしたら、左足はそのままにして、右足を倒して足の裏から左足の下にくぐらせます。

2. 右手の親指で右足の土踏まずを押さえ、他の指で甲を確保し、しっかりと右足の先を確保します。

3. 左手は指を広げたパーの状態で、その指をしっかりと伸ばしたまま、右足の指間にパーの各指を入れていきます。

4. その後に、左手を前後に動かして、右足の指を前後に倒して指の可動域を広げる運動を行います。この時に、右手を固定して、左指をつねに伸ばしておくことが大切なのだそうです。私は手の指が少し太いからでしょうか、足の指の間に手の指がしっかりと入らなかったので、力ずくで入れようと手の指を曲げて入れていたら、坂本氏から、『だから、指は曲げずにしっかりと伸ばす~!!!』と即怒られてしまいました。(涙)

5. 次に、右足の指間に入っている左手をゆっくりと回して、右足の指を右回転させます。

6. しばらく行ったら、反対に左回転させます。これだけの簡単な動きなのですが、全く動かしていない左足と比べると、大きく可動域が違うのを実感できるはずです。

7. 同じことを反対の左足にも行います。

8. 次に、車のサイドに正対して立って、足を延ばしたまま片足ずつずらして前後に広げます。

9. 上半身と頭部を後ろに大きく反らせつつ、肛門をギュッと上に締めあげます。

10. これを交互に足を変えて行います。できれば各2回ずつ行ってみてください。

ここまで5分足らずの動きですが、体中の気が動き始めた躍動感を感じるはずです。

11. 最後に、肩幅くらいに両足を広げ、両肩をなるべく動かさないようにして、リラックスして手と上半身を柱時計の振り子のように左右に振ります。力任せではなく、自然と手の動きに引っ張られるように肩回りが捻(ひね)られるのが大切なのだそうです。

教わったのはこの三つの動きだけでしたが、これだけでもサーフィンのための身体の動きがとても良くなります。
ヨーガは、サーフィンにも、身体のためにも、とても優しいフィットネスなのですね。

サーフィンを終えた後に、坂本昇氏のお宅にお邪魔させて頂きました。

 

ポイントを見下ろす山中にご自宅がありますが、入口はジャングルに入っていく感じです

ポイントを見下ろす山中にご自宅がありますが、入口はジャングルに入っていく感じです

古い建物ではありますが、バンガロー・クーよりもポイントの全貌を見ることが出来ます。ポイントを臨む最適な窓際には、籐のスリーピングチェアがあり、そこにはレンズが明るくポイントが良く見える双眼鏡が置かれていて、リラックスしつつ波の様子を手に取るように見ることができます。

この光景は何物にも代えがたい“宝”

この光景は何物にも代えがたい“宝”

 

その部屋の中で一番良い場所に、サーフボードの形をした大きなトロフィーと“使い込まれたGATH”のヘルメットが置かれていました。トロフィーのプレートの文字を見ると、「EDDIE AIKAU MEMORIAL」とありました。その重厚なトロフィーは、「EDDIE AIKAU MEMORIAL」の招待選手のみに贈られる貴重なものであり、そのGATHのヘルメットは、招待者であり、日本が誇るBig Waverの“脇田貴之プロ”が同大会で愛用した初代のヘルメットなのだそうです。

今でも毎年「EDDIE AIKAU MEMORIAL」に日本人で唯一招待されている脇田貴之プロは、ノースショアに通い始めたころから坂本昇氏に師事し、その影響でヨーガも自然と愛するようになり、自分を成長させてくれた師である坂本氏への感謝の印として、サーフィン博物館に入れてもおかしくない、この重厚なトロフィーと生死を共にした貴重なヘルメットをプレゼントしたのだそうです。

“WAKITA PEAK”とは、PIPELINEの一番奥の大変危険な場所からドロップし続ける脇田プロに敬意が払われて命名された名前ですが、来年にはその功績と現在をまとめた映画『WAKITA PEAK』がクラウドファンディングにより上映される予定です。多くの皆さまの厚意により、この映画が上映されることを切に祈ります。

https://www.makuake.com/project/wakitapeak/

40歳を過ぎた今でも、「EDDIE AIKAU MEMORIAL」に毎年招待されている脇田貴之プロ。
一方、『PIPELINE SURFBOARD』を創設し、70歳にほぼ近い今でも八丈島やクラマスでヨーガをしながら体調を整えて、大きくて波の良い日が来るのをじっと待ち続けている生活を何十年も続けている坂本昇氏。

両氏のサーフィンに対する姿勢は、とても深く謙虚であり、限りなくピュアであると強く感じました。

坂本邸の奥の部屋は、ヨーガをする神聖な場所となっていて、周囲は緑が溢れ、静寂でありつつも鳥のさえずりが調和し、大海原とサーフポイントを見下ろすロケーションのなか、坂本昇氏は静かにヨーガを極めていらっしゃいます。

坂本邸は、まさにサーファーが修行するためのお寺(Surfer’s Temple)であり、坂本昇氏本人は、“サーフィンとヨーガの高僧”といっても過言ではないでしょう。 (了)

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