☆加藤のウラナミ『エアバッグとインパクトウェットスーツの進化についてVol.2』

☆加藤

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会社代表であり、波乗りと海が大好きなサーファーです。子どもたちに安全安心な海を残すことと、島国などへ高精細な気象情報を提供することを残る人生のライフワークにしました。サーフトリップネタが多くなりますがお付き合いいただければ幸いです。よろしくお願いします。

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雪山での雪崩捜索に必要なビーコン・プローブ・シャベルは、救出するための三種の神器と言われていますが、もしもエアバック付きの登山者用のバックパックが開発されれば、多くの人命を救うことになると思います。すでにメーカーは研究開発に着手しているとは思いますが、那須高原の高校生と先生が犠牲になった雪崩事故を思い起こすと、早期に実用化されるのを強く願うばかりです。

一方、スノーケリングやオープンウォータースイミング(遠泳)、ウィンドサーフィン、SUP、サーフィンに活用できる、ドイツで開発された『RESTUBE』(10000円税別)というエアバッグ式の緊急浮力体の商品があります。かなり小さいので、泳ぎが苦手でリーシュが切れた時に心配な方や、アウターリーフでの万が一のアクシデントに備えたり、サーフガイドの方が受講生の安全安心のために装着しておくのもありだと思います。キーポケットが付いているので、キーはもちろんですが、小さなWAXなどを入れておくことも可能だと思います。

また、皆さんは最近ゴツゴツしているウェットスーツを見たことはありませんか?
まだ記憶に新しい昨年2月29日に開催されたエディーアイカウメモリアルは、過去最大のサイズでしたね。優勝したジョンジョンのみならず、見ごたえ十分で私も大興奮して見ていました。

クイックシルバー社提供の動画

この大会で1人の犠牲者も出さずに無事に終了できたことは何よりでしたが、犠牲者が出なかった理由の一つにゴツゴツしているインパクトウェットスーツの着用があげられます。

インパクトウェットスーツを着た友人サーファー

インパクトウェットスーツを着た友人サーファー

 

インパクトウェットスーツは、ボンベによる膨張式ではなく、予(あらかじ)め浮力体をウェットの中に埋め込んでおき、サーファーが深くまで持っていかれないように、また溺れた者が沈まずに、すぐにRESCUEすることが容易なように開発されたものです。

日本でもビッグウェイブサーフィン用のインパクトスーツが、いくつかのウェットメーカーから発売されています。私もベストタイプのものを持っていますが、切っ掛けはチマジャでビックウェイバーとして有名な谷内太郎プロが、胸~肩サイズのコンディションで着用していたからです。なぜ着用しているのか谷内プロにお聞きしたところ、三つの答えが返ってきました。
まず、パドリングが楽になること。浮力体は、胸、腰、背中などにいくつも入っていて、メーカーの仕様にもよりますが、ちょうどサーフボードと接する胸の下に浮力体が入っているタイプですと、4~5cmながらサーファーの上体が反るのを助けて、パトリングが楽になるのだそうです。
次に、ベストタイプはトランクスと紐で結ぶことができるので、波にもまれた際にトランクスが脱げることを防いでくれます。
三つめは、浮力体の十分な浮力により、ワイプアウトした時に本来ボトムまで持っていかれそうな時でも、水深の半分程度までで浮いてくるということでした。

私は三番目の理由を重視して購入することを決めました。なぜならば、海外のシャローリーフでのサーフィンでは、ビッグサイズでなくてもロータイド前後を中心に危険な時があります。最悪なワイプアウトをすれは、リーフで身体中がズタズタになり(傷あとはリーフタトゥと呼ばれています)、サーフィンができなくなるばかりか、ケガにより仲間に迷惑を掛けてしまうことが大きな問題となります。また、ロータイド前後のサーフィンはなるべく避けるようにしてみても、中にはロータイド前後に波が良くなるポイントも多々あるので、GOOD WAVEを安心して狙うためにも、ベストタイプのインパクトスーツでもケガのリスクを大幅に軽減できますのでお勧めです。

実際にベストタイプを使用した感想としては、着用前に心配していたパドリングやサーフィンへの影響は全くなく、ワイプアウトしても深くもっていかれないので水中でもがき苦しむことも軽減され、さらにはそれまで行けなかったような掘れた波や大きな波でも、その安心感から思い切ってテイクオフできたことが一番嬉しいことでした。

最後に、私自身を含めた50歳以上のサーファーは、サーフィン中の脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まります。命には代えられませんので、今後はインパクトウェットスーツを着用するか、RESTUBEを携行しておくことを検討していく必要がありそうです。 (了)

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