唐澤予報士のウラナミ『波を当てるように雪を当てる』

唐澤予報士

唐澤予報士
唐澤予報士:1991年、沖縄でサーフィンを始める。(スノーボードも開始)  1993年、初めてフルマラソンを完走。1999年、気象予報士資格を取得し登録。現在に至り、一児(娘)の父です。

東斜面2_1

今年の冬は実家のある北海道の札幌市に帰省することが多くありました。なぜかというと母の見舞いのため。一人暮らしをしている母が軽い脳梗塞のために入院してしまい、見舞いのために何度も北海道まで足を運んだのでした。幸い母の病状は重くはなく、命に別条があるわけでも重い障害が残るようなこともなく一か月程度で退院し、今では実家で普通に生活することができています。

ということで、帰省している間は母の入院している病院に毎日通ったのですが、面会時間は病院の決まりで昼過ぎから夜となっており、付きっ切りの必要もなかったこともあり、昼ころまでは割合時間が余っているのでした。若干の後ろめたい気持ちはありつつも、せっかく北海道に来ていて時間を持て余していてもしょうがないので、午前中はパウダースノーを求めて、山に向かうことが何度もありました。

ここで問題がありました。昼過ぎからは病院に見舞いなので、滑れる時間は正午前後までで、行ける所は札幌中心部から1時間以内に限定されてしまいます。ハイクアップをしてバックカントリーに滑りに行くのはもちろんのこと、少し遠くのスキー場に行くこともできません。昔は人が少なくて安い金額で楽しめていたローカルスキー場も、近年の外国人スキー・スノーボーダーの増加で混雑しつつリフト代が高くなり、手軽に楽しめない状態。そして、今年の札幌は雪が少なく、自宅や病院から1時間程度で行ける札幌近郊のスキー場は新雪の日が例年よりも少なく、パウダースノーに当たれない……。

ではどうするか。そこでしたことは、波を読むように雪を読むこと。前述したように、今年は例年と比べて札幌近郊は雪が少なかったのですが、札幌から数十km離れると、記録的な豪雪となった所もありました。冬の北海道で降る雪は、低気圧によるものと寒気によるものがあります。低気圧の雪は一様にドカ雪として降ります。一方、日本海側での寒気による雪は筋状の雲が発達して降るため、この雲が入る所では大雪となりつつ、雲が入らない所ではほとんど雪が降りません。今年は冬型であっても札幌周辺に雪を降らせるような気圧配置になることは少なく、代わって数十km離れた空知地方に雪を降らせる気圧配置になる日が多かったのです。なので、見舞いでの帰省の間は、東京在住のサーファーが、千葉や茨城に行くか、湘南や伊豆に行くかを波情報や天気図などを読んで当てて行くように、天気図・レーダー画像・アメダスデータ・ひまわり衛星画像などからどこに良い雪が降っているかを読み当て、夜明け前から移動し、昼までパウダースノーを楽しみ、昼過ぎには札幌に帰って母の見舞いとなったのでした。最初の写真は、自宅から1時間程度の某ローカルスキー場で撮ったものです。この日にスキー場にいたスキーヤー・スノーボーダーの数は、せいぜい20~30人。短い時間ながらもバフバフのパウダースノーを十分に満喫できたのでした。

サーフィンとスノーボードは当然異なるスポーツですが、似た所も所も多くあります。似ていることの最たることは当然「横乗り」ということですが、二番目に似ていることは、「天気図などを見て良いコンディションを当てる」ということかもしれません。

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