上條将美のウラナミ『HOW TO ドルフィンスルー』

上條将美

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上條 将美:小学生4年から全日本選手権で連続入賞し、ジュニアで優勝、世界選手権に日本代表で2度出場後、19歳でプロになり、20年間にわたってシードをキープし、2012年に引退。最高ランキング5位。2011年サーフレジェンド入社。

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皆さん、こんにちは、上條将美です。
普段からうねりに敏感な場所はもちろんのこと、比較的うねりの反応が鈍いこちら相模湾の中の湘南でも今年は波に恵まれている今日この頃、皆さんはどうお過ごしですか。

さて、サイズがあるコンディションで、特にしっかりとしたカレントのないビーチブレイクなどで苦労するのがゲッティングアウトですよね。
セット間隔が長ければまだいいですが、セット間隔が短く波数も多いと、体力を早く消耗してしまいます。
そこで、大事になってくるのが早く沖に出るためのパドル力と、波をスルーするドルフィンスルーのテクニックになります。
そのうち、今回はドルフィンスルーについて話したいと思います。
自分もドルフィンスルーにはかなり苦労しましたし、結局のところ、ある程度サイズ・パワーのある波ではドルフィンスルーは通用せず、ボードを放して潜るしか方法はありません。
それでも、少しでもドルフィンスルーが効く方法を、あくまでも我流にはなりますが、解説したいと思います。
とは言え、正式なドルフィンスルーのやり方というのは世に出回っていないと思いますので、それぞれが我流だとは思いますが。

① まずは、なるべく深く潜るためにパドルでスピードをつけます。
② 腕立て伏せの要領でボードに手を着き、同時に膝をボードにつけて体重でボードが沈んでいくようにします。
  この時に大事なのが、力を入れてボードを沈ませようとせず、体重でボードが沈むようにします。時間的には1秒以上はかかります。
③ 体重でボードが沈む限界に来たら、初めて腕に力を入れ、同時に自分の場合は右足のつま先でテール側を押して、体重である程度沈んだボードをさらに沈めます。
④ ③の時に併せて頭を海底方向に沈めるようにしつつ、あいている左足で水を蹴りながら背中側に勢いよく引き寄せるような感じで反動をつけてさらにボードが沈むようにします。
以上の工程を、深く潜るときのドルフィンスルーでは3秒くらいかけて行うイメージです。

もちろん、小さめのスープのときなどはそんなに深く潜る必要はないので、体力の温存のためにも①②の動作だけでスルーするなど、ケースバイケースの判断が大事になってきます。
また、①のパドルでスピードを付ける際もやみくもにパドルするのではなく、インパクトと言われるリップがちょうどボトムに落ちる一番パワーのあるタイミングは避けなければいけません。
なるべくなら、リップが落ちきってスープが上にバウンドするタイミングなどに上手く合うようにパドルを調節してください。
そして、波に対して常に真っ直ぐに進むのではなく、少しでも波のパワーが弱まる所を目指してパドルしてください。
小さなヨレが入っている場所、前の小さな波と重なる所、スープの大きさが少しでも小さい所などです。

若い頃にハワイに行っていた時の話ですが、その当時まだ若かったケリー・スレーターとクリス・マロイ&キース・マロイ兄弟が、ダブル以上のサイズがあるオフザウォールで何本もダンパーっぽいチューブに突っ込み、何事もなかったようにゲットを繰り返しているのを見て、レベルの違いを痛感しました。見ている感じでは本当にファンウェーブで遊んでいるような感じで、しかも3人ともノーリーシュでした。
このレベルは異次元になりますが、よろしければ少しでもゲットが楽にできるように参考にしてみてください。
 
 

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