上條将美のウラナミ『先を行く』

上條将美

上條将美
上條 将美:小学生4年から全日本選手権で連続入賞し、ジュニアで優勝、世界選手権に日本代表で2度出場後、19歳でプロになり、20年間にわたってシードをキープし、2012年に引退。最高ランキング5位。2011年サーフレジェンド入社。

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こんにちは、上條将美です。
4月になってようやく気温、水温ともに上がってきてサーフィンしやすくなってきた今日この頃、皆さんはどうお過ごしですか。
自分は、サーフィン中に肩を怪我してしまい、サーフィンはおあずけの日々が続いています。

さて、今回はWSL CT第2戦「マーガレットリバープロ」について話したいと思います。
コンテストが開催された何日かはどの日もサイズがあり、一番大きかったときは10ft
くらいのクローズアウトセットも入ってくるようなハードコンディションの中、優勝したのは現グランドチャンピオンのジョン・ジョン・フローレンスでした。
第1戦の3位と今回の優勝で早くもランキング1位のポジションに立ちました。
第1戦でも素晴らしいサーフィンを見せていましたが、自分が見る限りエアーにこだわったのが敗因で、カービングなどのマニューバーでライディングを組み立てていれば優勝していたのでは、と思いました。

第2戦は、波のサイズが大きかったこともあってマニューバー勝負となりましたが、彼のサーフィンはCT選手の中でも一人“先に行っている”と思えるほどの凄さでした。
CT選手でもテイクオフでパーリングしてしまうハードな波でも、安定したテイクオフからレールを入れ、波にへばりついてチューブをメイクしていました。カービングやレイバックは、昨年よりパワフルになって豪快なスプレーを飛ばし、多くの選手がてこずっていた所々リーフが顔を出すほど浅いエンドセクションでも、限界まで攻めつつスピードを失いうことなく、巨大なスープを上手くかわしていました。

点数も、ラウンド3以降は2本のライディングの合計が19.27、19.16、18.04、19.27、19.03と、1本のライディングの平均が9点以上。
クォーターファイナルを除けば、1本のライディングの平均点は9.5にもなります。
勝負なので何があるかはわかりませんが、このままでいけば今年もグランドチャンピオンになる確率はかなり高いと思います。

1人だけ違うレベルに到達してしまう「先を行く」、というのはスポーツの世界ではままあることだと思います。
自分のなかで記憶にあるのが、1990年に宮崎と新島の2会場で行われた世界選手権にジュニアクラスの日本代表として出場したときに、アメリカ代表として出場したケリー・スレーターです。その時の彼はまさに「先に行く」、「未来を生きている」感じで、10年くらい先を行くサーフィンをしていました。
宮崎のファンウェイブでは、その当時まだ技の名前すらなかったリヴァースで会場の度肝を抜き、新島のハードコンディションでは素晴らしいチューブテクニックを披露していました。そして、2年後の1992年にはASP(現WSL)のグランドチャンピオンに輝きます。

今回のジョン・ジョン・フローレンスにそこまでの感じはないですが、明らかに一人とびぬけたサーフィンをしています。
ぜひ、チェックしてみてください。
http://www.worldsurfleague.com/events/2017/mct/1809/drug-aware-margaret-river-pro-mens

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