服部予報士のウラナミ『夏が来ぅーれば思い出すぅー』

服部予報士

服部予報士
服部予報士 サーフレジェンド所属気象予報士、防災士。 小学校の理科の授業で天気に興味を持ち、大学は海洋気象を専攻。 TV・ラジオでの気象解説や、古民家イタリアレストランの店長などの経験を持つ。 「天気と海、旬の食材と話題を通して季節の移ろいを感じられる」ことを ライフワークとして、メッセージを伝えてゆきたいと思います。

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朝の通勤電車から急に子どもたちの姿が減ったなぁと思えば、そうですか…夏休みなのですね。

「夏休み」と言えば、何となく「ラジオ体操と夏休みの宿題、そしてプール」と小学生の頃を思い出すのですが、皆さんはいかがでしょうか?

基本的に勉強することが嫌いな私ですが、思い起こせば、それでもマメに続けてたことがありました。

ご存知ですか?NHKラジオ第二放送で毎日午後4時からの20分間、気象通報が放送されていることを。

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ん?気象通報?気象情報ではなく?

そう、通報なのです。「観測した実況」をラジオで放送しています。「予報」でなく「実況」で、放送される頃には「過去の天気」です。このラジオ放送を聞きながら、天気図専用の白地図に記入する→記入し終われば「きょう正午の天気図が出来上がる」という代物です。

ご存じの方は、おや?っと感じられる方もおられるかもしれません。そう、以前は朝9時、夕方4時、夜10時の1日3回放送でしたね。それが2014年度の春の番組改編からは夕方4時の1日1回のみとなっています。

ご存じない方、興味ない方にとっては、もうナンノコッチャっちゅう話です。…が、続けてみましょう。

この気象通報の具体的な内容は?というと、いまはインターネットでも見られるようになりました。

各地の観測値と低気圧や前線の位置 (お昼12時観測)
各地の観測値(日本式) http://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/gyogyou/jikkyo12.txt
低気圧や前線の位置(txt形式) http://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/gyogyou/tsuho12.txt

私が気象解説の仕事をしていた時の話です。

これが20分間、淡々と放送され、これを聞きながら黙々と天気図用紙に記入してゆくわけです。なので、途中書き損じなどあれば、あれよあれよと取り残され、それに焦ると、さらに状況は悪化します。さながらマラソンで転んでしまって、集団から遅れをとり、焦ったが余りにペースを取り戻せず、さらに距離が開く。終いには群衆は視界の先で小さくなっていく様です。

しかも、当時はアナウンサーが原稿を読み上げてましたので、ペース配分が上手くない方ですと、後半の読み上げスピードが速まったりして、「僕、何も悪いことしてないのにぃ~」と思いながら取り残される事も、今となっては懐かしい思い出です。それも時代とともに進化して、2016年の4月からは音声合成によって放送されています。さらには、気象通報Readerアプリ(残念ながらAndroidのみ)なるものもリリースされているようで、何ともマニア好み。

さて、まだアナウンサー読みの頃に戻りましょう…取り残されることの無いように取る対策というと、放送を録音しながら記入してゆくわけです。それも懐かしい「カセットテープ」。わかる人にしか共感を得られない…途中、犬が吠えたり、おかん(母)の叫ぶ声があれば、それも録音されちゃうようなヤツです。

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最初はテープを何度も行ったり来たりして、やっと記入が終わり、その後、追加で等圧線などを書き込み、随分時間を費やしていたように思います。ただ、何度も繰り返すと慣れやコツを掴み記入する速度は上がりました。また、等圧線も、最初は何処にどの様に引くと良いのか分からないのが、本を読んだり、新聞やテレビの天気図と比較したりして、珍しく熱心にやっていたように思います。まさに「好きこそ物の上手なれ」です。

出来上がった天気図をパラパラ漫画のようにめくると、お手製動く天気図の完成です。低気圧や前線が西から東に動き、同時に天気の変化も西から東へ。当時は気象庁のお天気相談所に問合せしたのですが、いまは気象庁のHPで色々な気象データが得られますので、これと突き合わせて見る…など、色々おもしろい出会いがあるかもしれません。

夏休みの自由研究にいかがでしょう。

そんなこんなで、いつの日からか天気の仕事がしたいなぁと思い、今に至ります。

もし天気図を書いてみようかな?と思いましたら…
■天気のヒミツ > 天気図に挑戦
http://weather-ignorance.jp/04-tenkizu_2.html

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