ハンマーのウラナミ『漁村へin宮城県石巻②』

ハンマー

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ハンマー:学生時代はウインドサーフィンが大好きで海に没頭。しかしバブル崩壊とともに遊んでばかりじゃイカンと自然と海からも遠のいでいました。現在の趣味は40過ぎから始めた空手で、強くしなやかに動けるカラダを追い求めています。仕事は営業と経理事務を担当。

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(大指漁港の船のほとんどが震災後に購入しており、この船は津波直後に沖出しをすることで被害を免れたが、3日間も帰港できなかったそうです。)

午前4時、漁港の朝は早いです。埠頭では漁船がすでにスタンバイして待っていました。
ド素人の私は5人ほどのクルーの仲間に入れてもらいました。船長さんや船員さんたちに簡単な挨拶をし、乗船するとすぐに出航です。港を出ると暗闇の海に注意深くサーチライトを当てながら、5分ほどで定置網に到着。

50メートル四方もありそうな定置網のところまで船を寄せると、船員が総出で魚網の端をつかむと徐々に網を引き寄せはじめました。この「引き寄せ」にはコツがあって、腕力だけではすぐに疲れてしまいます。漁師仕事は腰・膝を上手に使って、延々と綱引きをするような作業がついてまわります。それは重労働そのものです。下手するとすぐにギックリ腰になりかねません。初めての私は「海中の網や仕掛けを引き上げることがこんなにも大変だなんて?」とすぐに思い知らされました。

薄いゴム手袋に網やロープの荷重がかかるので、指先がちぎれそうなくらい痛いのです。延々20分もかかっただろうか、やっと網の出口(底の部分)が見えてきました。船首近くにあるローターというウインチのような機械でロープの巻取りにかかります。やっと機械の出番です。

網の本体を船の高いところから滑車付きリフトで吊りあげます。すると船上に網があがり、漁網の中の獲物をデッキ(甲板)にまさにぶちまけます。(イメージ的には頭上から魚が降ってくる感じ…です)

この作業中は船上がまさに戦場となります。獲れた魚種は様々で、鮭がメインですが、鰆(サワラ)、イナダ、サバの他に高級魚のヒラメも混じります。リフトから何度も魚が降ってくると足の踏み場がないほど魚に囲まれてしまいます。皆活きているので船上は魚が暴れて大騒ぎです。魚の仕訳作業をしながらの私もテンションMax! 大物登場となると、収穫の喜びで全員が超盛り上がります。

およそ1時間で定置網の作業は終了したので、港に戻ることになりました。ところがここでトラブル発覚。何と船底のスクリューに漁網が絡まってしまったのです。仕方なく網をナイフで切ることになりました。このトラブルによってさらに1時間半にわたって漂流状態となってしまいました。

重労働でかいた汗も冷たくなって体も冷えてきます。そして漁網を切るための不安定な揺れと、早起きによる眠気によって「船酔い」初体験になりました。最初は生あくびと唾吐きぐらいでしたが、頭痛がはじまるともう我慢が出来ません。「早く陸に上がりたいよー」と泣く寸前でした。

仲間の船が助けに来て牽引してもらい、何とか港に帰ってきました。朝8時前でしたが、船酔いのせいで今日は終わったなと思いました。何とか仮眠をとってから遅い朝食をたべました。食欲なんてなかったのですが、午後からは蛸取りに行くことになったので体力・気力を充実させねばなりません。漁師さんは太陽が出ている間が勝負です。船酔いなどと甘えてはいられません。(このまま私の体はもつのかどうか?)

ところで海が荒れている時の漁師はどうするのかというと、道具や網の補修といった漁業に関する仕事をします。まさに働きづめ。こちらのお宅では畑もあるので、農業も手伝う事がありました。さらにもうひとつ水産物の加工場が宿舎の階下に併設されていて、「ワカメ餃子」が造られておりました。石巻の特産として「ふるさと納税」でも評判が良い商品だそうです。

餃子マシーンによって牛タンとワカメ入りの具が出来上がります

餃子マシーンによって牛タンとワカメ入りの具が出来上がります

出来上がった餃子をトレーに並べてから冷凍庫で急速冷凍をします

出来上がった餃子をトレーに並べてから冷凍庫で急速冷凍をします

出来たての餃子を急速冷凍するために、私の作業は冷凍庫に餃子を何度も運びます。ビックリするくらいの冷凍庫の寒さです。その他ワカメの塩抜きやら乾き物の小分けパックづくりなど、漁師体験をしに来たのに加工も手伝ことになりました。半漁半農だけでなく、いろいろな体験が出来るものだなと妙に感心。

このような生活を何日間かしていると、翌日の日曜日に休日を頂くことが出来ました。海快晴でも「明日は波風が高い」との予報なので、海上作業は控えることになったのです。大指漁港では、お天気にアバウトな漁師さんがわりと多かったようです。でも海快晴コンテンツの説明をさせていただくと、とても興味を持って聞いていただけました。まずは「無料お試し10日間」をお勧めしました。

私がいるのは追波湾の沿岸で石巻市でも北東部です。さて明日は石巻市内から牡鹿半島をぐるりとまわり、最後に女川町という「原発のある町」をレンタカーで回ってみよう。今回の目的の一つ「震災から5年を過ぎた現状を見てみたい」でもありました。

※私が参加したボランティア活動に興味がある方がいらしたら、下記HPをご覧ください。
(イマ、ココ プロジェクト「7日間からできる漁村留学」)
http://inaka-pipe.net/intern/imacocopj/
byハンマー

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