この春から始まったNHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」は、「暮らしの手帖」誌の編集者・大橋鎮子さんをモデルとしたドラマです。
その「暮らしの手帖」が創刊されたのは、今から68年前、1948年(昭和23年)のこと。
激レアな第一号を手にする機会がありました。
編集者でもありイラストレーターの花森安治さんが描く温かみのある表紙です。
巻頭には花森安治さんのメッセージ。これは現在の最新号にも同じ宣言が書かれています。
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これは あなたの手帖です
いろいろのことが ここには書きつけてある
この中の どれか 一つ二つは
すぐ今日 あなたの暮しに役立ち
せめて どれか もう一つ二つは
すぐには役に立たないように見えても
やがて こころの底ふかく沈んで いつか あなたの暮し方を変えてしまう
そんなふうな
これは あなたの手帖です
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読み物の中には、かの有名な文豪が執筆していたり。
ふと忘れかけていたり、日本人ならではの丁寧かつ繊細な感性が随所に散りばめられています。
自分の祖母の世代が、どんな背景で生きてきたかが伺えます。
戦後の混乱がまだ残る中、物の無い時代でもおしゃれに美しく暮らしたいと願う女性へ向けた雑誌です。
中には、こんな記事も。
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美しいものは、いつの世でも
お金やヒマとは関係がない
みがかれた完成と、まいにちの暮らしへの、しっかりした眼と、
そして絶えず努力する手だけが、
一番うつくしいものをいつも作りあげる
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“日々、丁寧に生きよう”
と、思わせてくれる雑誌であり、そしてドラマなのです。
日々の暮しを工夫して美しく過ごす意識が詰まっています。
まだまだ家には、古い雑誌が何十(何百?)号もあるので、じっくり読みふけりたいと思います。