
こんにちは。
台風シーズンになると、SNSやネットニュースなどで、米軍(JTWC)の発表だと気象庁の数字より風速がはるかに強い、あるいは気象庁は過小評価しているのでは、といった投稿を見かけることがあります。
また、台風という言葉自体が日本特有の呼び方だと思われがちですが、実は国際的にも Typhoon(タイフーン)として広く使われています。
同じ台風なのに、なぜ国や機関によって風速の数字が変わるのでしょうか。
今回は台風という呼び名の実態と、知っておくと世界の気象情報がぐっと面白くなる風速の平均時間のカラクリについて解説します。
1. 台風は日本だけの呼び方ではない
Typhoon(タイフーン)は、日本だけでなく、主にアジアを含む北西太平洋で発生・発達した熱帯低気圧を指す国際的な共通名称です。
日本はもちろん、フィリピン、台湾、中国、ベトナム、韓国などに接近・上陸する熱帯低気圧も、北西太平洋で発生したものであれば世界中で Typhoon と呼ばれます。
つまり、日本だけの呼び方ではなく、アジア・北西太平洋エリア共通の言葉なのです。
アメリカでは、発達した熱帯低気圧をハリケーンと呼びますが、北西太平洋域で発達した熱帯低気圧のことは Typhoon と呼んでいます。発生した海域で名称が変わります。
2. なぜ? 海外のほうが風速の数字が大きく見える理由
実は、国や気象機関によって最大風速を何分間の平均で計測しているかのルールが異なります。
風は常に一定の強さで吹いているわけではなく、強弱を波のように繰り返しています。
これは陸上競技に例えると、1500m走の平均スピード(10分平均)と100m走の瞬間的なトップスピード(1分平均)を比べるようなものです。
計測する時間が短いほど、一時的な突風(ピークの風)がそのまま反映されやすいため、同じ強さの台風でもアメリカ基準のほうが数字が大きくなります。
3. 日本の30m/sは海外基準だとどれくらい?
具体的に比べてみましょう。日本の気象庁が最大風速30m/s(10分平均)と発表した台風を、各国の基準に換算すると大体次のような目安になります。
日本(10分平均):30 m/s
インド(3分平均):約33 m/s
アメリカ(1分平均):約35 m/s
海外サイトや米軍情報で最大風速35m/sと書かれていても、日本の30m/sより実際に台風が発達しているわけではありません。
数字の差は、測り方のものさしの違いによって生まれているのです。
※海外では風速の単位に m/s ではなく kt(ノット:1kt ≒ 約0.514m/s)や mph(マイル毎時)が使われることも多いため、単位の違いにも注意が必要です。
4. 強い台風とカテゴリー1は単純比較できない
この計測ルールの違いは、台風の勢力を表すランク付け(階級)にも影響しています。
日本の気象庁(10分平均基準)
強い台風:最大風速 33m/s 〜 44m/s未満
非常に強い台風:最大風速 44m/s 〜 54m/s未満
猛烈な台風:最大風速 54m/s以上
アメリカのサファ・シンプソン・スケール(1分平均基準)
カテゴリー1〜5で分類(例:カテゴリー1は風速33〜42m/s)
アメリカ基準で風速が約67m/s(130kt)以上の猛烈な勢力になると、海外ではスーパー台風(Super Typhoon)やカテゴリー4〜5と呼ばれます。
日本の強い台風(33m/s〜)とアメリカのカテゴリー1(33m/s〜)は、同じ33m/sという数字から始まっていても基準が異なるため、イコールではない点に注意しましょう。
5. まとめ
台風=日本だけの呼び方ではなく、アジア・北西太平洋エリア共通の言葉
日本は10分間平均、アメリカは1分間平均で風速を計測している
海外情報で数字が大きく見えても、測り方の違いであることがほとんど
海外の気象ニュースを見るときは、これは何分平均の数字かな?という視点を持ってみてください。世界各地の台風報道がもっとクリアに見えてくるはずです。

