サーフボード・フォームメーカー『USブランクス・ゼネラルマネージャーJeff Holtby氏』にインタビュー

波伝説 2019.06.20

D72A4397

サーファーの皆さんは「ブランクス」という言葉を聞いて、何を思い浮かべるでしょうか？

あまり聞き慣れないこの言葉……。

ブランクスとは、サーフボードを作る上で最も重要な素材（サーフボード・フォーム）です。

よくシェイパーがボードを削っている映像などを、目にすることがあると思いますが、その映像の中で削られているのが「ブランクス」です。

先日、日本で初めて開催された「ボードルームショージャパン2019」では、ライブシェーピングが行われました。その時の模様を、以下より一部ご覧いただけます。

アメリカのサーフボードブランクスのシェアは、以前はクラークフォーム社が80％〜90％を収めていましたが、2005年にクラークフォーム社が廃業し、それ以降は、さまざまなメーカーがブランクスを開発・提供しています。一般的にはPUと呼ばれるポリウレタン製の発泡フォームの素材で作られています。ここ最近は、強度に優れるEPSというエポキシ樹脂との相性が良いとされる、ポリスチレン製のブランクスが増えてきています。

世界には、名だたる4つのブランクスメーカーがあり、その中でもメジャーなブランドである「USブランクス」は、カリフォルニア州に本拠地を置き、クラークフォーム社に携わったスタッフで構成されています。そして、環境保全の厳しい条件をクリアした工場で生産されたハイクオリティで、さまざまなサイズや種類のブランクスを常に取りそろえています。

今回、その「USブランクス」のゼネラルマネージャーであるJeff Holtby氏が、日本で初開催された「ボードルームショージャパン2019」のために来日！

波伝説では、Jeff氏に「USブランクス」についてインタビューを行いました。

■USブランクス社の立ち上げについて

もともと、私はクラークフォーム社に14年間勤めていました。2005年の廃業をきっかけに、ビジネスパートナーと共にUSブランクス社を立ち上げ、今年で13年目になります。

■今回日本で初開催された「ボードルームショージャパン2019」についての率直な感想について

ボードルームショーが日本で開催されたことは、とても素晴らしいことだと思います。
これからもっとたくさんの人に見ていただけるよう、このようなイベントを毎年開催できれば最高だと思います。

■USブランクスの特徴について

USブランクスの一番の特徴は、他の製品に比べて安定した品質のブランクスを提供していることだと思います。ブランクスを作るのは簡単ではありませんが、製作工程に対して、最初から最後まで製作工程ごとに細部にわたるチェックを行い、徹底した品質管理を行っています。

また、スタッフが複数の製作工程のステップを担当するのではなく、1つのステップだけを担当することにより、より集中して作業に取り組むことができます。もちろん、私とパートナーも徹底した品質管理の運営をしています。

■USブランクス社と他社との大きな違いについて

【1】PU（ポリウレタン製の発泡フォーム）をアメリカ国内で生産しています。
【2】工場ではソーラー発電を行っており、全ソーラーパワーでブランクスを作っています。
2016年に工場の屋上一面には、ソーラーパネルが敷き詰められました。
ソーラーパワーにしたことにより、現在までに100万ポンド以上のCO2を削減することができました。

◆USブランクスウェブサイト
https://usblanks.com/1000000-lbs/

USブランクス社工場写真：USブランクスウェブサイトより

【3】そして、USブランクス社は何よりもスタッフのことを、とても大切に考えています。

■環境基準の厳しいカリフォルニア州でブランクス製造をしている理由について

【1】本拠地に工場を作ることによりお客様の声をすぐに聴くことができ、ベストな対応ができるためです。

【2】品質管理を徹底するためには、海外に工場を作るよりも、本拠地に工場を置くことによりベストな対応ができるからです。

■ブランクスの種類について

ブランクスの種類は、ストリンガーの無い柔らかいEPSボードであったり、その逆にストリンガーが硬い木製のものであったり、その中間のブランクスも作っています。

■最新のブランクス素材に関するトレンドについて

「アップルコア2」というストリンガーを使用したブランクスが、今とても人気があります。
D72A4418
そのストリンガーの厚さは2㎜で、細くすることにより”しなり”を生み、2枚の合板素材で作ることによって強度が生まれます。
また、ストリンガーを黒く染めることにより、密度が濃くなってさらに強度が増します。