唐澤予報士のウラナミ『高潮の基礎知識』

唐澤予報士

唐澤予報士
唐澤予報士:1991年、沖縄でサーフィンを始める。(スノーボードも開始)  1993年、初めてフルマラソンを完走。1999年、気象予報士資格を取得し登録。現在に至り、一児(娘)の父です。

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昨年の台風21号では、風・波・雨による被害がありましたが、各地で高潮による被害も多発しました。自分が働いていて住んでもいる神奈川県藤沢市でも高潮の被害があり、江ノ島での被害は全国ニュースでも取り上げられていました。湘南一帯の海辺では波と高潮により一瞬にして地形が変わった模様です。
ここで、高潮の基礎的な知識をまとめさせてもらいます。高潮の発生要因は主に下記の二つになります。
吹き寄せ効果;強い海風・オンショアにより、海水が沖合から沿岸に向けて吹き寄せられます。特に湾内などの入り組んだ地形ではこの効果が大きくなります。
気圧低下;気圧とは、地面・海面の上方にある空気の重さによって生じる力です。気圧が高いと空気の重さにより海面を押す力が強くなり、気圧が低いと空気の重さにより海面を押す力が弱くなります。一般的に気圧が10hPa下がると海面が10㎝高くなるといわれています。
この二つが主な要因で、あとは大雨による河川の増水によって河口付近では水面が上がるなどがあります。さらに今回の高潮は黒潮の大蛇行による影響もあるとのことです。(海流の強い所は海面水位が高くなります。力学的に説明できるのですが、複雑なので今回は省略(笑))
これらの要因と満潮が重なると高潮が発生します。特に今回は、台風が超大型で猛烈な勢力、秋で干満差が大きかったということも重なり、甚大な被害となった所がありました。残念ながら、「波伝説」などで出している潮位は、気圧や風の影響による変化を受けない月と太陽の引力によって生じる平常時における潮位予想(天文潮位)で、気象条件によっては実際の潮位と大きく異なることがあります。高潮注意報が発表されている時や、高潮が予想される時は、早めに対策をしつつ、不用意に海には近づかないようにしましょう。

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