上條将美のウラナミ『終わり良ければ全て良し⁈ 〜サーフボードのテール形状について〜』

上條将美

上條将美
上條 将美:小学生4年から全日本選手権で連続入賞し、ジュニアで優勝、世界選手権に日本代表で2度出場後、19歳でプロになり、20年間にわたってシードをキープし、2012年に引退。最高ランキング5位。2011年サーフレジェンド入社。

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こんにちは、上條将美です。
このウラナミを書いているのは3月の中旬。湘南では最高気温が20℃を超える日が数日続き、気温、水温ともに一気に春めいた感じの今日この頃、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

さて、今回のウラナミではサーフボードのテール形状について話したいと思います。
サーフボードと言えば、ロングボード、ミッドレングス、ショートボードなど、長さのことや、トライフィン、ツインフィン、クアッドやシングルフィンなど、フィンについてはよく話題になると思いますが、テールの形状についての記事はあまり見かけない気がします。
その理由は、サーフボードに求めるものがサーフボードの長さやサーファーのレベルによってそれぞれ変わり、それらの違う特徴を持つ多くのサーフボードに乗る機会がなかなかないためだと思われます。
サーフボードをコントロールするうえで、テールの形状はとても重要です。なぜなら、サーフィンにおいてターンをするときはサーフボードの真ん中辺りからテール部分を使うからです。特に、クイックなターンやアクションをする場合にはテール部分を使います。もちろん、今までのウラナミでも何度か話していますが、サーフボードの乗り心地はフィンによって大きく変わりますが、テールの形状によってもだいぶ変わります。

ただ、テール形状も細かく見ていくとキリがないので、今回は大まかに分けたいと思います。
まず、テール幅。広ければ浮力がありスピードがつきやすく、力のないスモールサイズでも浮力を使って進むことができます。ただし、アクション時にサーフボードを抑えることが難しく、繊細なコントロールは難しくなります。
一方、テール幅が狭いと、浮力がなくなる分スピードはつきにくいものの、沈めやすくなってコントロール性は良くなります。簡単な例で言うと、ハワイのワイメアなどで使うガンと言われるサーフボードのテールが極端に細いものは、テールの浮力でスピードをつける必要がなく、それよりもとにかくテイクオフやターン時のコントロールを求めているためです。このようにテール幅によって大きく性能が変わります。
また、テールの形によっても変わります。今回は、わかりやすく3種類のテールの形を例にしたいと思います。それは、フィッシュ、スカッシュ、ラウンドです。
フィッシュとラウンドがわかりやすいと思いますが、フィッシュの特徴として尖った角がある分、ターンをする時にしっかりと波に食い込む感じでターンの安定性を感じられます。ただし、デメリットとしては、リッピングの時に180度以上ボードを返した時、またはテールスライドで進行方向にサーフボードを切り返す際に引っかかりやすくなります。
一方、ラウンドテールは悪く言えばターン時にルースになりやすく不安定に感じやすいですが、テールスライドやリップでフィンを抜いたあとの予測しづらいリカバー時などでのコントロールがスムーズにしやすくなります。
このように、一概にこれが良いと言うわけではなく、好みやレベル、サーフボードに求めるものによってそれぞれに合ったテール形状は変わります。
ただし、基本的には一般レベルだと小波用は幅が広くてスピードがつきやすくターンがしやすく感じるフィッシュ、上級者のアクション用にはラウンドテールだと思います。昨年の世界チャンピオンのガブリエル・メディーナもほぼラウンドテールに乗っています。そして、どちらの特徴もというアベレージを求めるならば中間の形状のスカッシュが無難です。
以上、これはあくまでも自分の主観になりますので、可能なら試乗ボードなどで実際に試して自分に合ったものを見つけることをお勧めします。

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