服部予報士のウラナミ『ことしは7月25日と8月6日』

服部予報士

服部予報士
服部予報士 サーフレジェンド所属気象予報士、防災士。 小学校の理科の授業で天気に興味を持ち、大学は海洋気象を専攻。 TV・ラジオでの気象解説や、古民家イタリアレストランの店長などの経験を持つ。 「天気と海、旬の食材と話題を通して季節の移ろいを感じられる」ことを ライフワークとして、メッセージを伝えてゆきたいと思います。

top

みなさんもご存知”丑の日に「う」のつく食べ物を食べると夏負けしない”と言われて、毎年鰻屋さんが大忙しの「土用の丑の日」は、ことしは7月25日(火)と8月6日(日)の二日間あります。

風習の始まりは江戸時代に遡ります。平賀源内が、鰻屋さんで鰻が売れないとの相談に対し、当時「丑の日に”う”のつく食べ物を食べると夏負けしない」という風習があることを背景に、「”本日丑の日”という張り紙を店に貼ってみては?」との案を実施したところ、大繁盛に繋がったと言われています。

そして時代は進み、近年は鰻のお値段が上がり、なかなか簡単に食べられるような代物でなくなりました(少なくとも私は…)。

そこで、もし食べるとしたら、あなたは”産地”にこだわりますか?
食の安全・安心ということは別として、今回は「味」についてです。

この「産地」というのは「シラスが出荷サイズになるまでに、一番長く養殖された場所」が定義とされています。

国内で売られているうなぎの多くは国産か中国産、台湾産が主になると思いますが、このところは中国産のうなぎも、味に遜色はなくなってきているようです。むしろ、食感としては国産よりもジューシーに感じる方もいるかもしれません。

うなぎの種類には、ニホンウナギやヨーロッパウナギ、アメリカウナギなどがあり、以前中国はヨーロッパウナギをメインとしていました。ところが、ヨーロッパウナギは輸出規制されるようになり、その一方で、ニホンウナギの稚魚が近年増えたようで、日本をはじめ、中国などの東アジアの主産地とする養殖池への投入は、今年は前年よりも4割増えているとのことです。要は、うなぎの種類で言えば、国産も中国産も、ちなみに台湾産も「ニホンウナギ」なんですね。

そして食感でいうと、国産うなぎは比較的身が薄めであっさりしているが、旨味はしっかり濃いのが特徴。すこしネガティブな印象では、ものによっては少し泥臭いという印象をも持たれているかたもチラホラ。一方で、中国産うなぎは、身が厚くふわっとしている。そして、脂がよく乗っているので、これをジューシーに感じるか、しつこく感じるか?と意見が別れるポイントかもしれませんね。

気になる価格は、御存知の通り中国産は国産よりも安く、近年は生産者が頑張っていて、大きく成長させて出荷をするようになっているそうです。例えば国産うなぎではひとつのうな重を作るのに1匹が必要なところ、中国産では1匹でお重が2つ作れるなど、私達のお財布面のコストダウンに非常に貢献してくれているのだそうです。

味について…と言いましたが、食の安全・安心について軽く触れておきますと、中国では過去の食品問題への懸念を払拭すべく、信頼を高めるために安全に対する基準を強化する取り組みもされており、一概に中国産は危険とは言えなくなっているようです。

ちなみに今年は国産うなぎも、若干価格が下がるかも?と期待されていますが、ニホンウナギが依然絶滅危惧種であることには変わりないですから、保護をしながら、いつまでも美味しく食べられることを祈りたいものです。

最近の記事

関連する記事