TAIJIのウラナミ「“育った環境と波” サーフィンのスタイル」

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2005年のWCT部原から現地でCTを観戦するようになりました! オーストラリアレッグのsnapper rocks、ミックファニング、現役ツアー選手ではイーサンユーイングが好きで、こちらは2006年から観戦しています。 日本、千葉からCT選手が現れるのを楽しみにしています!よろしくお願いします。

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海をフィールドとするサーファーの中にはロング、ミッド、ツイン、ショート、BBといったカテゴリーがあり、その中でも選手ごとにスタイルと個性がありますね。

WSLワールドツアーの中でも、国や地域で選手のスタイルが異なり、その国の「地形」「波質」「カルチャー(文化)」が選手の個性に影響を与えています。


ハワイ

• リーフブレイクメイン

• 波の特徴:パワフルで形が整っており、長く乗れてセクションが多い

• スタイル:オープンフェイスを大きく使う

• スムーズでフロー重視

• クラシックで力強いライン取り

• 主な出身選手:ジョンジョン・フローレンス、アンディ・アイアンズ


ブラジル

• ビーチブレイクメイン

• 波の特徴:短くて掘れた波が多くバラつきもある

• スタイル:エアー等アグレッシブでスピード感ある動き

• 攻める姿勢とパッション

• 主な出身選手:ガブリエル・メディナ、イタロ・フェレイラ、フィリッペ・トレド


オーストラリア

• ポイントブレイクメイン

• 波の特徴:ロングウォールの波が多い

• スタイル:レールサーフィンが基本

(ターンの精度とボトム〜トップの繋ぎを重視)

• 教科書的に完成されたフォームとライン取り

• 無駄がなく効率的、競技志向も強いが美しさもある

• トップターンの爆発力+安定感が共存

• 主な出身選手:ミック・ファニング、イーサン・ユーイング、ステファニー・ギルモア


南カリフォルニア

• ビーチブレイク と ポイントブレイクが混在

(トラッセルズ、ハンティントンなど)

• スタイル:クリエイティブで自由な発想のライディング

• 環境やカルチャーの影響で「自由な表現型」

• 主な出身選手:グリフィン・コラピント、コロヘ・アンディーノ


今回は、“育った環境と波“が、スタイルや個性に大きな影響を与えているといった視点で、高知県出身の金澤呂偉選手に注目してみました。

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・WSL QS5000 KURUI(インドネシア):3位

・S・LEAGUE 初戦(浜厚真):3位

国内外の試合で好成績を収め、勢いに乗る金澤選手の今シーズンの目標は、WSLクオリファイシリーズのアジアランキングトップと来季のCS入りで、そこを目指しトレーニングに励んでいます。

彼のサーフィンの特徴は、下半身が非常に安定しており、深いレールワークをベースとした“レールサーフィン”が持ち味です。

そのスタイルは、幼少期からリーフや河口でサーフィンを重ねてきた経験から自然と培われたものです。

クルイでの3位入賞、その裏にある“適応力”とは?

QSを転戦する中で最も難しい、環境の違いへの適応。

日本の波と異なる、海外のパワフルな波、時差や移動での疲労、波のサイズ、波質の違いなど、アジャストする難しさは計り知れないです。

インドネシア・クルイでの好成績は偶然でなくリーフブレイクでの経験と得意のバックハンドを活かし手にした結果でした。

彼にクルイの感想を聞くと、「潮の満ち引きで速くなったり張りづらくなったりと変化があるものの、パワフルで面は硬く、ライブで見ているよりもコブがあり引っかかる感覚があった」と教えてくれました。

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“自分の波”を知っている強み

地元の生見や海部の波について尋ねると、こう語ってくれました。

「パワーがあって、掘れたブレイク。ずっと入っている場所なので、落ち着くし安心感があります」

一方で、練習の拠点でもある千葉の波については、

「波がある日が多くて、速いブレイクが多い。エアーを入れやすいけど、慣れるまでは難しくて、かなり練習しました。」

と話してくれました。

“育った波”と“今の波”の違いを理解し、スタイルを調整しながら成長していく姿勢も、彼の強みの一つではないかなと感じました。

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スタイルに表れる、その人の“ルーツ”

千葉にはWSLのCT(チャンピオンシップツアー)を目指しCSに参戦している選手や、QSを転戦しつつ国内ツアーに挑む選手、プロを目指すアマチュアまで、全国から多くのサーファーが集まります。金澤選手のように、スタイルと個性をもったサーファーが日々、切磋琢磨し合っています。

お気に入りの選手がどんな波に育てられ、どんなスタイルを形成してきたのか──。そこに着目してみると、サーフィンを見る楽しみが更に深まりますね。

 

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