気づけばカレンダーは9月へ。まだまだ暑く感じる日はあるものの、暦の上では「秋」です。
秋の日はつるべ落とし…とは良く言ったもので、つい先日までは午後7時でも明るかったと言うのに、何かしら灯りがないと足元が不安に思うことも。
”釣瓶(つるべ)”って何?と言われると、そもそも話が成立しないのですが、、、昔は井戸から水を汲むのに、縄などの先に桶(今で言うところのバケツ)を付けていたわけですが、そのバケツを釣瓶と申します。そのバケツが井戸に滑り落ちる様と重ね合わせ、秋の日はあっというまに暮れますなぁ~という例えです。

そんな夕暮れ時に「黄昏(たそがれ)どき」というコトバがあります。
噂によれば、映画「君の名は。」で知った方も多いようで。
「黄昏る」とか聞くと、日が傾いたなかで物思いにふけっている様子…をイメージする方もおられるでしょうかね。
実は私も、昔はそんな感じを抱いていたわけですが、番組で天気予報をやらせていただき、いわゆる季節ネタを扱うようになって知った事実でした。
「たそがれ」とは夕暮れ時をさす言葉で、薄暗くなった夕方頃は人の顔の判別がつきにくく「誰だろう、あれは?」という意味の「誰そ彼」というのが語源となっています。

季節や時の移ろいを表す言葉は多く見られます。
立春から数えて210日目(今年2017年は9月1日)は雑節の「二百十日」。台風の多い日、風の強い日と言われ、秋の頃の疾風や暴風を「野分(のわき)」と言い、野の草を吹き分ける強い風のことを意味し、台風のこととも言われています。
他には、季節が進み秋の気配が濃くなれば「秋深し」と、日本人は言葉を巧みに使い、且つ美しく季節を表現してきました。
普段から何気なく使う「言葉」は、時に霊的な力「言霊」が宿るとも言われ、少しゾッとする趣もありますが、何れにせよ奥深く、味わい深いものを感じられます。
四季折々の風景に出会うことの出来る日本で、季節とともに、美しい日本語も、じっくり味わってみたいものです。