米山予報士のウラナミ『台風はまだ諦めずに!』

米山予報士

米山予報士
米山予報士/大学を8年で卒業。その間、勉強などせず、山と海で遊ぶか家に引きこもっていました。当然、就職などまともにできるはずがなく、社会人経験もゼロ。なのに30歳になってしまいました。ただ、山のおかげで天気図に興味をもち、サーフィンをやっていたから気象予報士になれたと思います。サーフィンと気象、波情報の業務を精一杯頑張りたいです。

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(画像は気象庁3ヶ月予報より。)

今年の台風スウェルは9月以降に期待です。

こんにちは。6月7日現在、台風はまだ一つも発生しておらず、1998年以来18年ぶりの遅さとなっています。まずは、それが何故なのか?考えていきたいと思います。

 ○実況と3ヶ月予報○

1・台風が一つも発生していない
2・インド洋の海面水温が平年より高い
3・フィリピンの東海上で雲の発生数が少ない
4・エルニーニョ現象が終息に向かっている

台風の主な発生源であるフィリピン東海上の海面水温は4月の観測値で基準値よりも低く、インド洋の海面水温は高くなっています。このため、インド洋では上昇気流が発生し、雲が発達しやすく、周囲の地域よりも気圧の低いところになっています。インド洋で気圧が低いと相対的にフィリピンの東海上の海域は空気を送り込む太平洋高気圧が強まり、下降気流となるため、雲が発生しにくくなっています。そして、5月22日に発表された3ヶ月予報によると、この状況が8月までは続き、フィリピン東海上の雲の発生数が少ない状態が続く予想なので、8月くらいまでは台風の発生数が少ない予報がだされています。

 ○予想○

1・夏にはラニーニャ現象が発生
2・今年はエルニーニョ→ラニーニャ現象となった1998年に似ている
2・インド洋の海面水温が夏にかけて基準値より高く、秋には基準値に近づく
3・フィリピン東海上の海域の海面水温は夏には基準値より高まり、秋にかけて続く

他の気象会社や予報士の方の見解をみると、今年は夏だけでなく、台風の発生数自体が年間で少ないとする記事があります。

それは今年がエルニーニョ→ラニーニャ現象となった1998年と共通点が多いことも根拠の一つのようです。(1998年は台風1号の発生が7月9日と過去最も遅く、発生数は16個と過去2番目に少なかった)

ただし、蓋(ふた)を開けてみれば、猛暑が冷夏になったり、逆もあり得るのが気象なので、必ずしも当たるわけではないと思います。

一つは、夏から秋にかけてインド洋とフィリピン東海上の海面水温の傾向が今とは異なることがあげられます。
5月12日に発表された最新のエルニーニョ監視速報によると、台風の発生が抑えられている原因となっているインド洋の海面水温は秋には次第に基準値に近づき、主な台風の発生源となるフィリピン東海上の海面水温は夏には基準値より高まり、秋にかけて続くとされており、フィリピン東海上で雲の発生数が増える可能性があります。なお、1998年の台風の発生数を調べると、9月に最も多い5個の台風が発生していますので、8月まで少なくても9月以降に台風が多くなることも考えられます。

また、年間の台風の発生数が少なくても、接近する数が少ないとは限らず、昨年よりも大きい波をもたらせてくれる可能性も残されていますので、まだ始まってもいない台風シーズンを諦める必要はないのかと思います・・・。

とまぁ、あまり当てにはせず、期待したいところです!

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