2019年ギネス世界記録となった、女性が乗った最も大きな波 (by Fred pompermayer)
ブラジルの小さな島で生まれ育ったアンドレア・モーラー。
少女時代の彼女は、いずれ自分がギネスブックに記録を残すほどのビッグウェイブサーファーになるとは夢にも思わなかった。
海以外に遊ぶ場所がなかったので泳ぎは得意だったという。
学校に行くのでさえも、フェリーに乗ってブラジル本土まで行かなくてはならないような島だった。
住民は、シンプルだけど幸せに暮らしていて、ほとんどの人はその島から出ないし、外国なんて全くの別世界で想像すらしないような生活だった。
『小さい頃の思い出は海ばかり。それしかなかったから海で遊ぶことが好きだった。特に泳ぐことは大好きで、学校の授業をサボって海の向こうに見える島まで泳いで行ったこともあったわ。多分3~4時間くらいはかかったかしら?
あとで両親がそのことを知ってめちゃくちゃ怒られたわ。ドラッグとかをやって問題を起こしたことはないけど、遠くまで泳いで怒られる事はしょっちゅうだったわ。(笑)
あと医学や薬にはとても関心があったの。
でも子供の頃に将来お医者さんになりたいと父に言ったら、「ダメだ、ダメだ。あの仕事は病気の人や不幸せな人ばかりと接するから、自分自身が幸せじゃなくなってしまうんだ」と反対されたわ。そして、観光の仕事をすればいいと。(笑)
だからサンディエゴの大学に行った時には、“ホテル経営学”を学ぼうとしたの。
でもやっぱり誰かに勧められたものではなくて、自分が本当に好きなことをやるべきよね。
結局最終的にそこに行き着くのだから。(笑)
だから、回り道はしたけれど、今こうしてパラメディック(救急救命士)の仕事をしているんだと思うの』
『父親がヨットハーバーの管理人をしていたので、いろんな場所からやってくるヨットや船を見て育ったの』
そしてウインドサーファーだった父に連れられて、いろんな大会にも出かけたので、彼女がウインドサーフィンを始めたのは自然な流れだった。
子供心に、いつかは自分もそうやって旅をしたいなと思っていたらしい。
『高校卒業してサンディエゴに留学した時に、マウイ島に移住した友人の家に遊びに行ったの。まずウインドサーフィンのメッカ、マウイの風の凄さにびっくりしたわ。そしてトロピカルの花々の匂いがとても印象的だった。
毎日毎日強い風が吹き、いい波が立って、世界中からウインドサーファー達が切磋琢磨する、こんな世界があるなんて!そのエネルギーは衝撃的だった。
友人はナッシュ(ウインドサーフィンのメーカー)で働いていたのでその紹介もあって、セールのカッティングをしたり、リペアをしたり、とにかく手伝える事はなんでもして、その代償としてギアをもらうようになり、いい道具で練習することができたの』
それがきっかけで、彼女はマウイに移住して、プロウインドサーファーとして大会にも出るようになった。つづく。