ナッカルビのウラナミ『ペリカンはサーファーだった?』

ナッカルビ

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湘南生まれ、湘南育ちながら海との接点が乏しい半生を歩む…。 今は自分の趣味より家族を優先しがちな中年です。 会社で教わったSUPを趣味にできたら、うれしいな。IT局所属。

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こんにちは、ナッカルビです。
今回は自然界にも波乗り名人(?)がいるというお話です。

アメリカ合衆国カリフォルニア州ラ・ホーヤにあるスクリップス海洋研究所 (Scripps Institution of Oceanography)から見える海では、サーフゾーンのすぐ沖合の波の頂上に沿って移動するカッショクペリカン(学名:Pelecanus occidentalis)の姿がよく見られるそうです。

その波に沿って海面すれすれを飛行する様は、まるでサーファーのようです。



でも、ここで少し疑問が残ります。
なぜ周囲に風がほとんどない状況でも、彼らは羽ばたきもせず、飛行し続けることができるのでしょうか……

鳥の飛び方は大きく分けると2つあり、一つは翼を規則的に羽ばたかせながら飛ぶ「はばたき飛行」で、もう一つは翼を広げたまま空を滑るように飛ぶ「滑翔=グライディング」です。

滑翔は、はばたき飛行に比べて使うエネルギーはずっと少なくて済みますが、高度が保てない欠点があります。そこで、滑翔する鳥は上昇気流を利用して高度をかせぎ、滑翔で距離をかせぐ飛び方をします。この気流を利用して上昇する飛び方を「帆翔=ソアリング」と呼びます。また、地形の凹凸によって生まれる気流もソアリングに利用されています。

サーファー兼飛行力学者のストークス氏は、この「鳥の波乗り」に環境流体力学が関係していることに気づき、波が鳥に与える影響を計算しました。その研究の結果、ペリカンたちは波の凹凸(うねり)が作る気流の局所的な変化に沿って飛ぶことで絶えず揚力を得ており、ほとんどエネルギーを消費していないことがわかったのです。

研究チームは、その飛行方法を「波傾斜帆翔=ウェーブスロープ・ソアリング」と名付けました。

元論文:Wave-slope soaring of the brown pelican(カッショクペリカンの波傾斜帆翔)

「波傾斜帆翔=ウェーブスロープ・ソアリング」の図解 / Credit:Ian A. Stokes, Movement Ecology(2021)

「波傾斜帆翔=ウェーブスロープ・ソアリング」の図解 / Credit:Ian A. Stokes, Movement Ecology(2021)

結論としては、カッショクペリカンは波の凹凸(うねり)が作る気流に乗る名人だったということでした。
この事実は、ドローンなどの人工飛行物を海上で長時間飛行させる技術の開発につながるかもしれません。

では、次回もよろしくお願いします。

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