☆加藤のウラナミ『海の安全安心について』

☆加藤

☆加藤
会社代表であり、波乗りと海が大好きなサーファーです。子どもたちに安全安心な海を残すことと、島国などへ高精細な気象情報を提供することを残る人生のライフワークにしました。サーフトリップネタが多くなりますがお付き合いいただければ幸いです。よろしくお願いします。

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10月にインドネシアスンバ島に、そして11月にモルディブのガーフダール環礁にボートトリップしてきました。
すでに、chan-U君がスンバの同トリップのコラムを書いていますので詳しくは触れませんが、同島のミラーズライトポイントは、一昨年に続いて素晴らしい波を我々にプレゼントしてくれました。今でもあのロングウォールを思い浮かべてはニコニコしてしまう自分がいます。現地にステイするには、山の頂上にある高級ホテルからバイクなどで20分以上かけて海に通うか、海岸近くの漁師が営むジャングルキャンプに泊まるかしかないため(マラリアやデング熱にかかる心配が少々あり)、基本的にサーファーは少なく、OMツアーが企画するSAMASAMA号によるボートトリップで行くのであれば、お勧めのディストネーション先だと思います。
波は、4feetまではFun Waveで、リッピング、カットバックを入れつつ軽く250m以上のライドが可能です。自然が相手なので確証はできませんが、一般的な日本人サーファーであれば一年分のGood Waveを数日間でライドし尽してしまうかもしれません。エキスパートサーファーには、FIJIのタバルアクラウドブレイクやインドネシアのメンタワイ辺りがお薦めになるのでしょうが、私のような50代後半のおっさんサーファーには、ケガをせずに思い切りFun Waveを楽しみたいので、日本国内の人気のあるいくつかの島に加えて、サブ&ロテ島、モルディブのガーフダール環礁とともにお薦めのサーフエリアです。
今回は、ミラーズライト以外のポイントでも、クウォリティーの高い波を当てることができましたが、まだ島の東側は未体験ゾーンなので、もしも再訪できる機会があれば、ぜひ次は東側についても調べてみたいと思っています。

モルディブ南アトールのガーフダール環礁には、昨年に続いて2回目のボートトリップでした。
ここはサーフキャンプがなく、一泊500ドル以上の5starのリゾートに泊まるか、現地で運行していて、今回お世話になったHORIZONⅡを筆頭に3隻のサーフボートを利用するしかないため、基本的には北マーレと違ってサーファーが少ない羨望(せんぼう)のサーフエリアです。
同行したVAGY君が近いうちにコラムを発表しますので、詳細は後日のお楽しみにさせて頂きますが、少しだけお話をすれば、メインポイントのタイガーストライプ(Left)は、今年もほぼ貸し切りで我々日本人サーファーを十分に堪能させてくれました。サイズは、前半こそ4~6feet以上あってハードでしたが、徐々にうねりと風が落ち着き、中盤から後半にかけてはGood Conditionに恵まれました。

船は快適そのもので料理も美味しく、さらに船長のワヒドさんがポイントのあるガデ島の有力者なので、島の漁港内に船を停泊させることができます。夜に船が大きく揺れることなく、連日熟睡することができました。もちろんお酒の影響もありましたが…(猛爆)

なお、今回自然豊かなガデ島が昨年と大きく変貌(へんぼう)していたのには正直驚かされました。
貿易風をかわす島の東側を中心に、リゾート開発をするために島中で大規模な埋め立てが行われていたのです。まだタイガーストライプの波に影響することは無さそうでしたが、今よりも埋め立てが進めば、満潮時にバックウォッシュが入って良質な波を崩してしまうのは間違いないでしょう。

(タイガーストライプのインサイドの埋め立ての様子)

(タイガーストライプのインサイドの埋め立ての様子)

(埋め立て資材を運ぶダンプカー)

(埋め立て資材を運ぶダンプカー)

さらには、それらの開発資金を中国に頼っているのがとても気かがりです。
皆さまご承知の通り、中国による南シナ海のスカボロ環礁などの埋め立てによる軍事拠点化は、国際司法裁判所の裁定により中国の敗訴が決定しましたが、中国の七つの海への野心が決して弱まった訳ではありません。
コロンボ~モルディブマレー~ガーフダールへの機内では、多くの中国人ハネムーナーや団体客に取り囲まれました。それによって、我々のサーフボードの一部が国内線飛行機(プロペラ)には乗り切らなかったほどです。

中国はインドとの国境付近で領土争いをしているため、そのインドの喉元であるモルディブの島を買い取って軍事拠点化でもしようものなら、インドと中国はキューバ危機時のアメリカとソビエトのように一触即発の大変な事態に発展しないとも限りません。

モルディブ政府がそれらを許すとは到底思えませんが、フィリピンのドゥテルテ大統領を2.5兆円もの経済支援で黙らせたように、中国が大金で事を進めてしまう可能性を否定することはできないでしょう。
今のところ、新アメリカ大統領に当選したトランプ氏は従来の過激な発言を控えていますが、もしも中国を激怒させるような発言や対応があれば、争いに発展しないとも限りません。

今回ガデ島では、青年海外協力隊員として派遣されていたYurikaさんという日本人女性にお会いしました。日本体育大学時代にラクロスの選手として活躍したYurikaさんは、同校卒業後に青年海外協力隊員に応募し、この小さなガデ島に派遣されて、島唯一の小さな小学校で体育を教えていたのでした。たまたま同小学校主催の外国を調べて発表するお祭りのようなイベントに、私とVAGYは見学させてもらったのですが、子どもたちはYurikaさんが教えた日本の歌を上手に歌い、また子どもたちの親御さんたちが写真から見よう見まねで作った立派な神社の鳥居に加えて、いくつもの日本料理をこしらえて展示していました。(終了後に皆で食べたようです)

(感動の出来栄えの神社を背景に、中央がYurikaさん、向かってその左が船のクルーのバナナ君(通称)、そして右がVAGY君)

(感動の出来栄えの神社を背景に、中央がYurikaさん、向かってその左が船のクルーのバナナ君(通称)、そして右がVAGY君)

こうした日本人による温もりを感じる支援はとても大切だと思うし、インフラなどの将来につながる日本からの経済支援(ODA)による整備とともに、世界の海での紛争が少しでも減ることにつながればと切に願うばかりです。

インドネシアのバンダアチェや東ティモール、そしてスリランカのアルガンベイなどは、かつては独立をめざすゲリラ組織とそれを阻止したい政府軍が争っていたために、市民の安全安心な暮らしは程遠く、外国人がサーフィンできるどころではありませんでした。
平和であるからこそ、市民は安心して暮らせるし、子どもたちは将来に就く職業を夢見て勉学に励み、我々サーファーも笑顔でサーフィンが楽しめます。

北西太平洋の海のパワーバランスがこれ以上崩れることの無きよう、日本は無用な争いを防ぐ努力をもっと自覚しなければならないと思います。
モルディブのお気に入りのポイントで、そのような国際社会が抱える難しい問題をふと考えこんでしまいましたが、余計な心配で終わることを心から願うばかりです。(了)

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