唐澤予報士のウラナミ『ことし最高の波』

唐澤予報士

唐澤予報士
唐澤予報士:1991年、沖縄でサーフィンを始める。(スノーボードも開始)  1993年、初めてフルマラソンを完走。1999年、気象予報士資格を取得し登録。現在に至り、一児(娘)の父です。

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2020年1月9日藤沢市辻堂

このウラナミを書いているのは10月12日です。奇妙な動きをとった台風14号がまだ八丈島付近にあり、新たな台風が南シナ海で発生する予想になっています。

台風の発生の平年値は、11月は2.3個、12月は1.2個となっており、まだ台風は発生しそうです。

ただし、さすがに大陸からの冷たい空気が優勢になってくるため、なかなか台風が北上することはなくなってきます。台風の本土への接近数の平年値は、11月は0.0個(伊豆諸島、小笠原諸島では0.3個のため、厳密には小数点第2位まであることになります。この0.3個をもたらしているは1965年と1990年で、それ以外の年は11月に台風が伊豆諸島・小笠原諸島も含めた本土に接近したことはありません)。12月は完全に0個となります。

ということで、ほぼほぼことしの台風による波は終了といってもいいかもしれません。なので、ことしの(自分にとって)ベストの波を振り返ってみたいと思います。

ことしの台風で(自分にとって)一番良かったのは、9月6日の台風10号による波です。

9月5日昼

2020年9月20日藤沢某ポイント

T2010

台風10号進路図・気象庁HPより

入ったのは藤沢の某ポイント(けっして名前を伏せなければいけないような所ではありません)。サイズは頭~頭半前後。セット間隔が非常に長く、セット以外は通常でいうアウト付近で割れるダンパー。ただし、ほぼ10~20分毎に入ってくる頭半前後のセットのみは、はるかアウトから割れてインサイドまでショルダーの張るブレイクでした。業務を終えた夕方から入ったために、1時間半しか入れずに、乗れた波はごくたまに入ってくる切れた頭半サイズの3本だけでしたが、ロングウォールが続く最高の波でした。特に最後の1本は、はるかアウトからインサイドまでの超ロングライド。パドルアウトするサーファーと笑顔で眼が合い、気がついたら「サイコー!」と叫んでいました。本当に最高でした!

でも、そんな波よりも良かったのは、台風時期ではなく、何と1月でした。この日は、西高東低の冬型の配置でした。
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実況天気図2020年1月9日

冬型の気圧配置となると強い北西の季節風が吹きます。この北西風が若狭湾→琵琶湖→伊勢湾と通過し、その後は西寄りの風となって遠州灘→伊豆半島沖→相模湾となります。この強い西風が南西の波を湘南にもたらします。ただし、西風は相模湾に入ると次第に南西風に変わり、湘南沿岸ではジャンク・クローズアウトとなってしまうことも珍しくはありません。ただし、1月9日は、内陸に溜まった冷たい空気塊が、南西風が入るのを塞ぎ、沿岸ではオフショアが吹きつつ、遠州灘~伊豆半島沖~伊豆大島付近で吹く強い西~南西風による頭半前後の三角波が綺麗にまとまった状態でバンバン入る、というコンディションでした。波数があってゲットはハードなために、アウトのラインナップにいるのは10人にも満たない数でした。この1月9日が今年の「THE DAY」でした。

なお、この日は、スーパーコンピューターによる数値予報では沿岸でも南西風が強く吹く予想で、まったくの予想外のエクセレントウェーブでした。予報士としてもビックリのエクセレントウェーブでした。

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