サーファーなら誰もが願う「良い波」。
とはいえ、良い波とは、レベルや人によっても異なります。
波の予測に必要な風やうねりに加え、欠かせない要素が潮回りです。
潮回りを知っておくと、波の形やブレイクが予想しやすくなり、好みの波に出会えるチャンスがぐっと増えます。
月と潮の関係
潮の満ち引きは、主に月の引力によって起こります。
月の引力で海水が引っ張られ、月に近い側と、慣性力により反対側でも海面が高くなります。
これによる上昇と下降が満潮と干潮です。
さらに太陽の影響も加わり、上弦・下弦の頃には小潮になります。

天体の動きは正確に計算できるため、その日の潮位の変化はタイドグラフで概ね把握できます。
潮回りの種類と波への影響
大潮
〇 新月・満月の頃。
〇 潮位差(満潮と干潮の差)が最も大きく、潮の流れが速くなるのでカレントも強くなりやすい。
〇 干潮・満潮の時間がはっきりしている。
干潮は、波が急に掘れやすくなり、上級者向け。浅いリーフでは危険です。
満潮付近では、波が割れにくくなることが多く、特にビーチブレイクではダラダラしたブレイクになりがちです。
その中間の上げ潮の時が、波がまとまりやすく初心者〜中級者向けです。
中潮
〇 大潮の前後にやってくる。
〇 潮位差はやや小さくなるが、まだ動きは大きい。
良い波になるチャンスは比較的多いです。
1日のうちに「乗れる時間帯」が見つかりやすい潮回りです。
小潮
〇 半月(上弦・下弦)の頃。
〇 潮位差が小さく、潮の流れは緩やか。
大潮や中潮に比べて潮回りによる変化が少ないので、上げすぎや下げすぎでサーフィンがしにくくなることが減ります。
一日を通して安定しやすい反面、ポイントによっては波の力がなくなる場所もあります。
長潮・若潮
〇 小潮の後に現れる特殊な潮回り。
〇 潮の動きがさらに緩やか。
潮の低い時間と高い時間が、それぞれ長く続く傾向にあるので、同じコンディションをキープしやすいです。
ただし、サーフィンに適しているミドルタイドの時間帯は限られます。
また、潮の動きが少ないため、力のない波になることも。
波伝説のタイドグラフは、一目で潮位変化がわかるのでぜひご活用ください。
潮見表の下の、エリアカレンダーをタップすると、月齢カレンダーが表示されます。
※アプリ版では、潮見表の右下の「+」をタップで表示できます。
地形で変わる潮回りの影響
潮回りの影響は、そのポイントの地形で大きく変わります。
リーフブレイク
〇 潮が高い方が安全で形も良いことが多い。
〇 逆に潮が引きすぎると、シャローで危険性が高くなり、ケガや板の破損に繋がる。
基本は「潮が高い時間を狙う」のがおすすめです。
ビーチブレイク
ミドルタイドでは、潮が動くことで波が1サイズほどアップすることもあり、多くのポイントでサーフィンしやすくなる傾向があります。
ただし、砂の付き方で日々地形が変化します。
お気に入りのポイントでは、毎回「潮の動き」と「地形の変化」も確認することをおすすめします。
例えば湘南では・・・
〇 西湘方面などの地形が深いポイント → 満潮だと割れづらく、干潮の方が良い波に当たりやすい。
〇 鵠沼などの遠浅のポイント → 干潮時はダンパーや、ペラペラな波になりやすいため、満潮の方が良い。
〇 辻堂や湯河原吉浜などインサイドでダンパーになりやすいポイント → サイズがある程度あれば、潮が上げた方が切れた波(ショルダーが張る波)が増えて乗りやすくなる。
湘南エリアは、一定期間ごとに地形レポートをお届けしておりますので、こちらもご活用ください▽
『rikutoの湘南地形レポートVol.7〜2025年8月〜』
https://www.namidensetsu.com/news/rikuto/587756
ベストなタイミング
多くのポイントで、ミドルタイドがおすすめ。
特に、上げ潮の時間の3〜5分目(満潮までの中間)は、波が整いやすく形良く割れることが多いです。
ただし、場所によっては例外もあるので、自分のホームポイントでの傾向を知ることが大事です。
まとめ
潮の知識は、サーフィンの上達に欠かせない“海の時計”です。
月の引力が作る潮のリズムを理解すれば、波の予測がぐっと正確になります。
ポイントの地形や自身のレベルに合わせて、最適な潮回りを選びましょう。
